第五章
[8]前話
「仰天してです」
「宮廷に来たな」
「我を忘れて」
「そのことは罪だ」
宮廷に乗り込み暴れたことはというのだ。
「重い罪だ、だがハントゥアが止めてだ」
「そうしてですか」
「そなたを止めた、そして今反省している」
そのことがわかるというのだ。
「宮廷を壊した弁償をしてもらう」
「それでよいというのですか」
「そづうだ、それよりもだ」
スルタンはこれまでの理知的な顔からだ、険しいものにさせてだった。そのうえでこうも言ったのだった。
「噂の出どころだ」
「私がスルタンを弑逆していると」
「そして余がそなたを処刑したとな」
こうハントゥアに応えた。
「根も葉もない噂が流れたが」
「その出どころをですか」
「調べよう」
「ではです」
ハントゥアはすぐにだ、スルタンに申し出た。
「我が友のバンダハラに調べてもらいましょう」
「この国一の知恵者のだな」
「そして私のもう一人の親しい友でもある」
「そうだな、ではあの者に調べさせてだ」
噂の出どころをというのだ。
「そしてだ」
「その噂に対してですね」
「然るべき手段を為す」
こう言ってだ、スルタンは今度はバンダハラを呼んでだった。この度のことを彼にも話してそうしてだった。
噂の出どころを調べさせた、するとだった。
「あの国からか」
「はい、噂が出ていました」
バンダハラはこうスルタンに述べた。
「どうやら我が国の勇者達を葬る為にです」
「噂を流してか」
「スルタンを惑わしていたかと」
「わかった、ではだ」
ここまで聞いてだ、スルタンはその場にバンダハラと共にいたハントゥアとハン=ジュバにも顔を向けて彼等に話した。
「そなた達三人に命じる」
「ではですね」
「これよりですね」
「そうだ、あの国を攻めよ」
こう命じるのだった。
「よいな、そしてだ」
「この度の悪謀の罪を償わせる」
「そうさせるのですね」
「そうだ、思う存分戦って来るのだ」
こう命じてだった、スルタンは三人に兵を預けその国を攻めさせてその国から多くの領土と財宝、民を手に入れ報いとした。マレーシアに古くから伝わるスルタンと英雄達の物語である。英明な君主の下に勇者と知恵者が集えばそれでその国は幸せになり救られるという話であろうか。
噂と真実の結末 完
2019・2・17
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