第三章
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「暴れ回っています」
「まずい、あの者を止められるとすれば」
スルタンはハン=ジュバの強さをよく知っていた、彼に仕える勇者の一人であるからだ。
「それこそハントゥアだけだ」
「しかしそのハントゥアは行方知れずです」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「今はな」
「打つ手がないですね」
「そうだ、ない」
まさにというのだ。
「これではな、ではだ」
「ここはどうされますか」
「国の主が玉座を後にすることはあってはならない」
断じてと言うのだった。
「それは国が滅びる時だ」
「それでは」
「余はここに残る、そしてだ」
そのうえでと言うのだった。
「ハン=ジュバをここに呼べ」
「そうしてですか」
「あの者と話そう」
こう言ってだ、スルタンはハン=ジュバを自分の前に来させる様に命じた。そうして彼に話すつもりだったが。
王宮の騒動は即座にだった、バンダハラの屋敷の中にも伝わっていた。それで家の者達がその話をしているのを聞いてだ。
匿われていたハントゥアは驚き即座にだった。
刀を手にして立ち上がった、そのうえでバンダハラに言った。
「王宮に行って来る」
「あの話を聞いたか」
「そうだ、若しそれが本当ならだ」
「ハン=ジュバを止めなくてはならないからか」
「あの者を止められるのは俺だけだ」
こうバンダハラに言うのだった。
「だからだ」
「今から行くのか」
「スルタンに無礼はさせない、そしてだ」
「ハン=ジュバもか」
「そうだ、あの男はお前と同じく俺の友だ」
こうバンダハラに言うのだった。
「心と心を交えさせたな」
「だから失う訳にはいかないか」
「そうだ、だから止めて来る」
「決心は固いな」
ハントゥアのその顔を見てだ、バンダハラは悟った、それでハントゥアに対してあらためて話した。
「では馬を出す」
「その馬を使ってか」
「俺が持っている馬の中で最も速い馬を使え」
「そうして王宮に向かえというのだな」
「そうだ、急いでだ」
そうしてというのだった。
「スルタンとハン=ジュバを頼む」
「ではな」
ハントゥアはもう一人の友の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼はすぐに馬に乗って王宮に向かって駆けた、そうして王宮に入ると王宮の者達が驚いて彼に問うた。
「ハントゥア殿、何処におられたのですか」
「スルタンがお探しでしたよ」
「捕らえよともいわれていましたが」
「一体何処に」
「その話は後だ、それよりもだ」
ハントゥアは自分の周りに来た者達に駆けつつ応えた。
「ハン=ジュバは何処だ」
「今スルタンがお部屋に呼ばれています」
「そこでお話を聞くと言われて」
「ですがハン=ジュバ殿はすっかり頭に血が上られて」
「暴れ回りつ
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