第三章
[8]前話
投げられてくる火の玉をかわしつつ魔物の勇者に対して弓矢を放ちます、ですが相手の燃え盛る炎の身体と服、鎧の前に弓矢は全て燃えてしまいます。
何故魔物の勇者がどんな攻撃も通じないと言われてきているのか、フルグチョンはわかりました。ですが。
それで諦めることなくです、彼は狙いを定めてです。
また弓矢を放ちました、すると今度の弓矢はです。
これまでは魔物の勇者の身体のあちこちに当たるだけでしたが眉間を貫きました、魔物の勇者はこれでも死にませんでしたが。
もんどり打って倒れてです、何とか立ち上がりましたが片膝を突いています、そうして言うのでした。
「くっ、俺が倒れるだと」
「どの様な身体でもお前は生きている」
フルグチョンは片膝をついたままの魔物の勇者に告げました。
「それならばだ」
「眉間を射抜けばか」
「他の急所もだ、眉間だけではない」
身体の他の場所もというのだ。
「貴様はそこを貫かれても死なないが」
「しかし今は戦えない」
それだけのダメージを受けてしまったというのです。
「俺の負けだ、はじめて負けた」
「どの様な相手も生きているなら急所を攻めれば倒せるのだ」
「そういうことか」
「そうだ、それでまた言うが」
「あの娘は俺の妻にはなりたくないか」
「お互いに想っている相手と結婚しろ」
これがフルグチョンの魔物の勇者に言うことでした。
「そのことがわかったならだ」
「これでか」
「帰れ、どうだ」
「俺も勇者と言われた男だ」
それならとです、魔物の勇者はフルグチョンに答えました。
「ならばだ」
「これでだな」
「帰るとしよう」
こう言ってでした、そのうえで。
魔物の勇者は敗北を認め何とか立ち上がると自分の国に戻りました、そしてお国でお互いに想い合う人と一緒になったとのことです。
魔物の勇者を退けたフルグチョンはやがて夜明けの太陽の娘と結婚しました。そうしてお互いに想い合ったまま幸せな夫婦として暮らし幸せな家庭ももうけました。エベンキ族に伝わる古い古いお話です。
魔物を退治してから 完
2019・3・6
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