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謀の果て
第三章

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「今からでも」
「よせ、お二方は明公の寵愛を受けておられるぞ」
「常に明公のお傍におられるぞ」
「そなたが何かすれば明公にも害が及ぶぞ」
「そうなればそなたは忠義の者どころか逆賊になるぞ」
 周りは殺意を見せた彼を必死に止めた。
「ここは抑えろ」
「時は必ず来る」
「その時を待て」
「今はな」
 こう言って里克を止めた、彼も友人達の必死の説得を受けて思い止まった。だがそれはあくまで今は、であった。
 そんな中で今度は献公は申生に彼女の母既に亡くなっている彼女を祀る様に命じた、それで酒と肉が用意されたが。 
 すぐにだ、里克は献公に言った。
「酒と肉は臣が用意しますので」
「それを使えというのか」
「はい」 
 こう言うのだった。
「この度は」
「しかしだ」
 献公はすっかり呆けた、最早完全に骨抜きになり魂がそこにない様になっている顔で里克に言葉を返した。
「もう驪姫達が用意している」
「お二方が」
 ここで里克は内心蒼白になった、だがそれを隠して献公に応えた。
「左様ですか」
「だからだ」
「臣の酒と肉は」
「そなたが使え」
 祭祀にというのだ。
「いいな」
「それでは」
 遅かった、里克は内心舌打ちしたがもうどうしようもなかった。二人に骨抜きにされている献公がそれで駄目だと言う筈がないこともわかっているからだ。 
 だからこの場は引き下がるしかなかった、しかし必ずよからぬことがあると確信していて備えていた。
 そしてその危惧が当たり申生が祭祀を行いだ、献公も酒を亡き妃の墓の土にかけたがこの時にだった。
 土が不気味に盛り上がった、このことに妙に思ってだ。
 献公は酒を宦官に飲ませ肉を犬そして別の宦官に喰わせると皆死んだ。するとここで二人は献公にさめざめと泣いて据えては申生の仕業であり自分達が用意した酒や肉に細工をしたのだと言った。このことにだ。
 国の心ある者達は皆言った。
「何を白々しい」
「あの様なことは出まかせに決まっている」
「お二方が用意した酒と肉ではないか」
「ではお二方が何かしたに決まっている」
「酒も肉もだ」
「どちらもだ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 献公に申生の潔白を懸命に言った、だがどうしても驪姫達のことは肝心の献公が二人に骨抜きにされているのは明らかでどうにも言えなかった。
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