第四章
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「人を襲って食べるとか」
「映画みたいにですね」
「そうなるなら怖いけれど」
流石にその場合はというのだ。
「そうじゃないとね」
「別にですか」
「考えてみれば何でもないよ」
すみれが狼少女でもというのだ。
「そんな体質かなってだけで」
「化けものと思わないですか」
「人殺さないなら」
それならとだ、勇気はまた言った。
「いいよ」
「人を殺すなんてとても」
その行為についてはだ、すみれは震えさえして語った。
「出来ないです」
「それで食べるとか」
「ステーキは好きですけれど」
それでもという返事だった。
「とても」
「そうだよね、だったらね」
「普通の人とですか」
「全く変わらないから」
そう思うからだというのだ。
「だからね」
「いいですか、私は」
「うん、というか何かね」
ここでだ、勇気はすみれにこうも言った。
「満月の光を浴びてね」
「狼少女になった私をですか」
「見てみたくなったけれどいいかな」
「はい、そこまで言ってくれるなら」
それならとだ、すみれも頷いてだった。
満月の日の夜にだ、すみれは勇気を自宅の前に呼んだ。そして彼を自分の部屋に入れてから言った。部屋の中は花柄のものとぬいぐるみに少女漫画やライトノベルが多く如何にもという女の子の部屋だった。
すみれは勇気をその部屋の中に入れてあらためて話した、ピンクのロングスカートに白いフリルが多くついたピンクの上着というお姫様を思わせる私服姿で。
「ではです」
「これからだね」
「はい、満月の光を浴びて」
そうしてというのだ。
「狼少女になります」
「それじゃあね」
「これからカーテンを開ければ」
今はカーテンを閉めている。
「それで、です」
「満月の光を浴びて」
「それで、です」
「狼少女になるんだよね」
「もうお父さんとお母さんにはお話してまして」
「さっきお二人挨拶してくれたね」
勇気がすみれに家に入れてもらう時にだ。
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