第二章
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しかも丁度会社から帰る時間だ、そのまま家に帰る人も私みたいに用事がある人もこうした時間帯にそうしたことをされると本当に困る、若し自殺なら心からこの自殺だけは止めて欲しい。そうしたことを考えながらだった。
私はとりあえず待つことにした、けれど彼はもっと待っている。そのことを思うと気が気でなかったけれど。
とにかく待つしかなかった、それでだった。
自動販売機のところに行ってホットコーヒーを買って飲んだ、甘いそれを飲んで少し気を落ち着けてだった。
待合室に入って読みかけの本を開いて読みはじめた、けれど本を読んでいても電車が早く動いて欲しい、彼に待っていて欲しいと心から思っていた。
優しくてものの道理がわかっている彼が怒って立ち去る筈がない、そのことはわかっていても。
やっぱり彼を待たせていてしかも寒いから気が気でなくて本を読んでもそのことを考えてしまう。コーヒーで少し気が落ち着いても。
それでだ、自分でもわかる位そわそわしながらだ。
私は待っていた、待合室でも皆不安そうで言っていた。
「まだか?」
「まだ動かないのか?」
「早くしてくれ」
普段はせわしなく動いている日本一電車が多い山手線の動きが止まると本当にどうしようもない、それでだ。
皆早く動いて欲しいどうしてこうなったんだと目を顰めさせていた、放送はまだ申し訳ありません暫くお待ち下さいだ。
それで一時間過ぎた、それでもまだ電車は動かず。
私は彼にスマホで連絡をするとまた言った。
「まだよ」
「みたいだね、こっちでもね」
「そんな話になってるのね」
「僕もスマホで情報確認したら」
「山手線動いてないのね」
「人身事故じゃないみたいだけれど」
それでもというのだ。
「事故らしくてね」
「夜の事故だから」
「復旧が遅れてるみたいよ」
「そうなのね」
「けれど人身事故じゃないから」
とんでもない面倒で迷惑なこれでないからというのだ。
「そろそろかな」
「復旧するかしら」
「一時間過ぎてるよね」
「大体ね」
「だったらね」
「そろそろかしら」
「そうなると思うから」
復旧するからというのだ。
「もう少しね」
「待っていればいいわね」
「そうしていよう、僕はハチ公前にいるから」
「それじゃあね」
私はこの時も彼の優しさに感謝した、それで彼との連絡の後でスマホで情報を確認すると確かに人身事故じゃなかった。それでだった。
あと少し待とうと思っているとだった、やっとだった。
明るい情報が来た、復旧したとのことだ。私も駅で待っていた他の人達もやったと思わず歓声を挙げた。そうして。
私は電車に乗ってそうしてだった、渋谷に向かった。そうして渋谷駅に着くと急いでハチ公前に向かった。するとだった。
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