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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica55トリシュタンとルシリオン
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ど、いざ目の前にしたら読書家としての血が騒いでしまった。ポカーンとしているルシルさんを置いて、私はひとり本探し。

「あ、コレ絶版本! それにこっちは初版本!? 天国を見つけたり!」

至る所に収まっている貴重な書物がごろごろ。お目当ての書物を籠の中に丁寧に重ねていき、収まり切らなくなったらもう1つ籠を用意して、魔力で腕力を少しばかり強化することで重くなった籠を軽々と腕に掛ける。

「ん〜〜〜!」

棚の最上段にて見つけた古書に手を伸ばすけれど、残念すこし届かない。近くに脚立がないかを確認。

(むぅ。使われているか・・・)

私の居る棚には他に誰も居らず、急いで脚立を持ってくることも出来そう。でもそれは今だけかも知れず、離れたところで誰か来るかも。そんな不安が過ぎって離れられない。だからジャンプで取ろうと試みていたら、「あ・・・!」後ろから伸びてきた手が狙っていた本を取った。

「(それは私が・・・!)あっ、ルシルさん!?」

私の後ろにはルシルさんが居て、取った本を「コレで良かったか?」と差し出してくれた。私は籠を足元に置いてからそれを両手で受け取り、「ありがとうございます!」胸に抱いてお礼した。

「俺の方は決まったが、トリシュの方はどうだ?」

ルシルさんの足元にはある籠は1つで、収められている書物は10冊程度。私と同じくらいの読書家であるルシルさんにしては少し足らないような。そんな考えが顔に出てしまっていたのか、「買いすぎると、はやて達に怒られそうで」ルシルさんが苦笑い。

「そう・・・ですね」

チクッと胸が痛む。その台詞は、はやてと同棲しているからこそ出てくる言葉。出逢い方が違えば、と運命を呪いそうになる。でもだからと言ってここで腐っている場合じゃない。

「で、では私が預かります! ルシルさんが購入した書物、家に預かりますから、必要でしたら寄ってください! 連絡を貰えば、私が書物を持って待ち合わせ場所に行きます!」

ルシルさんと逢う口実を作ってしまおう。私が必死にそう提案すると、ルシルさんは最初は呆けて、一拍遅れて小さく笑い声を上げて、「そうだな。じゃあお願いしようかな」綺麗な微笑を浮かべた。

「そうとなれば、もう少し選んでこよう!」

「わ、私ももう少し!」

もう1度散開して書物探し。そして「またお腹が・・・」鳴ったことで時刻を確認すれば、「13時過ぎ!?」になっていた。気付けば籠も3つに増えていて、書物もどっさり。裏カバーに張られたシールの値段を総計すれば40万オーバー。一瞬血の気が引いたけれど、「まぁいいか」気にしないことにした。

「トリシュ。そろそろ昼食にしようか。さすがに腹が減った」

「あ、はい。お会計しますから、少し待っていてください!」


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