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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica55トリシュタンとルシリオン
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邪魔にならないところに移動して、私も2種類のシュニッツェルサンドを頂いた。2つも食べれば空きっ腹も膨れて、お昼まではもちそう。
軽食も済ませて、古書店が開かれている中央区アヴァロンはキャメロット地区へと向かうために改めて歩き出す。徒歩で向かえば開催時間前にたどり着く時間だ。道中に飲み物を購入(こちらは割り勘ということに)して、毎回芸術家を目指す卵たちが修行目的で集まる街路、通称キュンストラー・シュトラーセ・アーに入る。

「そこの美男美女のお2方。ちょっと絵のモデルになってくれませんか?」

「「モデル?」」

声を掛けてきたのは、画材道具一式を用意している青年。彼の後ろにはイーゼルに掛けられたスケッチブックに向かっているお猿さんが1頭。私がお猿さんを見ていると、「すぐに済みますから。どうでしょう?」改めて尋ねられた。

「その日最初のお客さんには、無料で提供しています。もちろん、描かせてもらった絵はお持ち帰りも出来ますし、携帯端末に撮ってデータだけでも持ち帰れます。その際、残る絵はしばらく飾らせてもらいますが、責任を持って処分します」

「きっきーっ!」

人間の6才くらいの大きさなお猿さんがスケッチブックにペンを走らせて、「うきー!」描き終えたのかスケッチブックを反転させて絵を見せてきた。お世辞にも上手とは言えず、幼児が描いたような拙いものだった。

「(でも・・・)ふふ。何か味のある絵ね」

「ああ。・・・トリシュ、ちょっと付き合っていかないか?」

「そうですね。ルシルさんとのデート記念に、お願い出来ますか?」

私が微笑みながら店主さんにそう返すと、「ありがとうございます!」と店主さんは嬉しそうにお礼を言ってきて、私とルシルさん2人一緒か、もしくは別々に描くかどうかと尋ねられたことで、「一緒にお願いします♪」ルシルさんの腕に抱きついて肩に頭を乗せた。

「では、始めます!」

店主がイーゼルに掛けられた大きなスケッチブックに筆を走らせ始め、後ろのお猿さんもスケッチを始めた。その間、私たちは身じろぎせずに、「今さらですけど、このポーズで良かったですか?」と尋ねる。

「もちろん。デートっぽいしな」

ルシルさんの口から、デート、という単語が出るだけでキュン?となる。私の早鐘を討つ鼓動が、ルシルさんの腕から伝わったら嬉しいな。そんな幸せを感じた数十分ほど経過したところで、「う、腕が・・・」痺れてきてしまった。幸せから一転つらいものになったこの体勢。

「よし、出来ました!」

「うきー!」

店主さんがスケッチブックを反転して描いた絵を見せてくれた。パステルで描かれていて、「すごい・・・」その美しさに目を奪われた。見ているだけで幸せになりそうな温かいタッチで、胸がホッとする
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