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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica55トリシュタンとルシリオン
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出すために盛り髪にしようかと悩んだ、朝4時からの3時間。耳の下でのツインテールにして良かった。
「それで今日は、どこに連れて行ってもらえるのでしょう・・・?」
「昔に約束した、いつか2人で芸術強化月間に出掛けよう、と。だから自治領を回ってみようと思う」
ザンクト・オルフェンは年に1度、全区を上げて芸術強化月間を開催する。各区で最も大きな広場を貸し切って、演劇、演奏、歌劇、絵画の展覧会、フラワーデコレーション、ファッションショー、自作映画の上映などなどが1ヵ月間と出展される。
大隊問題でごたごたしている騎士団だけれど、自治領に住まう人たちにはそれは関係のない話。だけど今回の一件で、どうしても気落ちした空気が領内に出ている。信頼厚き騎士団の幹部級騎士が揃いも揃って現騎士団を裏切った。その所為で、聖王教の信者や住民の方々には不安が溢れている。それを少しでも払拭するため、少しでも明るい話題を領内に入れるための、少しばかり早い時期に開催することになっていた。
「憶えていてくれたんですか・・・!」
「もちろん。これまでに何度か行ったことがあるが、2人きりじゃなくて集団で行ってばかりだったからな。芸術強化月間が開かれるって知って、トリシュを誘おうとすぐに思っていたんだ」
「それはとても嬉しい話です!」
胸の内が温かくなる。10年以上も前の約束を憶えていてくれたこともそうだけれど、はやてやシャルではなく、真っ先に私を誘おうとしてくれたことが何よりも嬉しい。
「というわけで、マクティーラを駐車場に停めて、移動は公共交通機関を利用しよう」
「あ、はい、そうですね。自家用車などでの移動は交通規制に掛かって不自由ですしね」
ルシルさんの提案を受け入れ、“マクティーラ”を1番近い地下駐車場に停めることに。そして停めた後に地上を出て、イベントの女性係員からパンフレットを1冊いただく。私とルシルを知っているのか少し驚いた顔をしたけれど、すぐに営業スマイルで「どうぞ楽しんでいってください!」と見送ってくれた。
「すまない。君の嗜好を元にして事前にどこを回るか決めておけば、少しは格好がついたんだが・・・」
「いいえ。こうして2人で決めるだけでも十分楽しいです♪」
他の人たちの通行を邪魔しないように端に寄り、ルシルさんと顔を寄せ合ってパンフレットを眺める。今年は古書店が開催されているようで、私とルシルさんは顔を見合わせて、「ここは確定で♪」微笑み合った。
「――では、今日1日はお付き合いして貰えると言うことで、まずはカッツェ大広場で開かれる古書店へ赴き、その後はルートを決めずにその都度に行きたい場所を決めましょう」
「判った。それでいこう」
パンフレットをコートの内ポケットへしまい込んだルシルさん
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