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艦これ 恋愛短編
ZARA編
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に。あなたって子は!」

「待って、姉さま、これは、違うの、私は提督の日ごろの労をねぎらおうと思って……」

「それがダメだって言ってるのよ! ほら来なさい! うわっ、酒臭っ、あなたもう飲んでるの?」

 

 ポーラが問答無用で俺から引っぺがされる。そのまま襟首をつかまれると、観念したのか、子猫のようにおとなしく連行されていった。

 

※※※※

 

「いや、助かったよ、ザラ」

「お見苦しいところをお見せしました……」

「いやいや、もういつものことだしな」

 

 ザラは慣れた手つきでポーラを隼鷹たちに引き渡した後、改めて執務室に戻ってきた。もちろん、そこで演習の報告を済ませてもらう。

 

「提督も甘やかさないでください。大体勤務中の提督の下に酩酊で来るなんて」

「ははは、あいつは酔ってるとこしか見たことねえな」

 

 そうやって話しながら、ザラは応接用のソファーに座って、クリップボードにペンを走らせる。いつも酔った状態で、会話が成立しているかどうかすら怪しいポーラの姉とは思えないしっかり者。数が増えてきたイタリア艦のまとめ役として抜擢してからだいぶたつがその役も見事にこなしている。

 

 その真剣な横顔は、本人の整った顔立ちと合わせって、絵画の中の美女のような様相を醸し出す。

 

「……何ですか、提督」

 

 しまった。じっと見つめすぎていたのか、視線に気づいたザラが、ペンを止めてこちらを向いた。

 

「あ、いや……そういえば、ザラの練度も、ずいぶんと上がってきたなー、と」

「そうですね。イタリアの子も増えてきて、演習の旗艦をやることも増えてきてますから」

「……今いくつだ」

「ええっと、今日の演習で上がりましたし、97です」

 

 その回答に、俺は少しだけ声を落とす。

 

「そうか……あと少しだな」

「え、なんですか」

「いーや、なんでもない」

 

 そういいながら、俺は彼女から死角になっている、机の引き出しをそっと引いた。

 そこに入っているのは、黒いビロードで仕上げられた小箱。最近上層部の方から送られてきた、“指輪”である。

 

 高い練度と、提督との信頼関係を持って、艦娘の戦闘能力をさらに向上させるアイテム、と聞いている。が、大半の提督はそうは思っていない。これを艦娘に渡すということは、最も信頼している、ということの証。形状が指輪であることも含めて、プロポーズとなぞらえて「ケッコンカッコカリ」なんてうそぶく者もいる。

 

 あと2か、と心の中でつぶやくながら引き出しをそっと閉じる。ザラはもう書類に目を戻している。ザラ
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