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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
第43話
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ホルダーを見つめて呟いたアルティナの様子を見たリィンは出会った当初は”人形”を思わせるような無表情であったアルティナに”感情”が芽生えている事を悟り、驚きの表情を浮かべた。
「リィン少佐…………わたしはどこかおかしくなったのでしょうか…………?」
「――――――いいや、アルティナが今感じているものは俺達”人”なら誰もが感じる”悲しみ”という”感情”だ。」
「今も感じているこの胸の痛みの正体が”悲しみ”…………」
「ああ…………アルティナは今、ミリアムが死んでしまった事に対して胸が締め付けられるような痛みを感じているんだろう?それは間違いなく”悲しみ”だよ。…………俺だってミリアムが死んでしまった事に胸が締め付けられるような痛みを感じているよ。」
「…………ミリアムさん…………ぁ……これは…………”涙”…………?」
リィンの指摘を聞いた後ミリアムの事を思い返したアルティナは自分が涙を流している事に気づき
「――――――そのまま泣いていいんだ。アルティナ自身は気づいていないだろうけど、ミリアムが亡くなった事に泣きたいとアルティナの”心”がそう望んでいる証拠だ…………」
それを見たリィンは優し気な表情を浮かべてアルティナを自分の胸に抱きよせて頭を優しく撫でた。
「リィン…………さん…………う…………あ…………ぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!」
そしてリィンの言葉を聞いたアルティナはリィンの胸の中で声を押し殺してミリアムの”死”に対して泣き、リィンはアルティナの頭を優しく撫で続けていた。

「…………もう、大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。」
少しの間泣いていたアルティナは泣き終えた後リィンから離れた。
「迷惑だなんて思っていないさ。それよりもアルティナが初めてハッキリとした感情を見せてくれたんだから、むしろ嬉しいくらいさ。」
「…………人の泣いている姿を見て”嬉しい”と思うなんて、不埒です。」
「――――――――――――」
苦笑しながら答えたリィンの答えを聞いたアルティナは恥ずかしさを感じた事で頬を僅かに赤らめてジト目でリィンに指摘し、アルティナの言葉に続くようにクラウ=ソラスもアルティナの傍に現れて機械音を出した。
「ハハ、その調子ならもう大丈夫そうだな。」
「ぁ…………」
アルティナの様子を見たリィンは微笑ましそうにアルティナを見つめながらアルティナの頭を優しく撫で、頭を撫でられたアルティナは呆けた声を出した。

「――――――”リィンさん。”」
そしてアルティナは決意の表情を浮かべてリィンを見つめた。
「?どうしたんだ、改まって。」
「…………リィンさんはメンフィル軍の捕虜であったわたしを引き取ってくれた時にこう言ってくれました…………『俺達の使用人という名目で君を引き取ったけど、それは建前で本当の理由は俺達
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