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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十三話「残った謎」
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筈だぜ?そんな顔をするな。あと三日もすれば直せる。チョイとばかし神経に異常があってな、麻痺みたいなもんだが...オイ、深刻そうな顔になるなよ。」

「だって今麻痺って...」

「だぁかぁら、『みたいな物』ってだけだ。症状は似てるけどコイツは直しやすい。俺に任せろ。」

そう言ってエドワードは意外にも上手なウィンクをした。



部屋に戻るといきなりシャルティエが叫んだ。

「坊ちゃああああん!!!!」

「シャル、声が大きい!」

「だって、僕達。あの得体の知れない空間からちゃんと出てこれたじゃないですか!僕もう嬉しくて...」

「わかった、わかったから音量を少し下げろ。」

フェイトもバルディッシュと話している。お互い眼が覚めてから相方と話すのは初めてらしい。

「変な所はない?バルディッシュ。」

「心配はありませんサー。平気です。」

「良かった...」

ホッと胸を撫で下ろしていた。
実の所リオンもそれは同じ気持ちだった。いや、むしろリオンのほうがそれは大きいだろう。

「シャル、訊きたい事があるんだが。」

「なんでしょう?」

「お前虚数空間に落ちてから何かしたか?」

違うだろうな、と思いつつそれは訊いた。
案の定「いいえ」と彼は答えた。

「坊ちゃんもわかってるでしょう?あの中では晶術は使えませんでした。これは間違いありません。」

「そうか...やはりな。」

「やはりってことはアンタ、違うと思ってたのかい?」

リオンは頷いた。

「なんでだよ?」

プレシアが最後に言ったことーを口にしかけて止めた。どうやら聞いていないなら聞いていないほうがいい台詞ではある。その前の狂気に満ちた彼女よりもリオンは最後の何かを悟ったような顔になった彼女のほうが怖かった。
同時に本能的にあの言葉は真実だとリオンは知った。

(しかしあれは…どういう意味なのだろう?)

何とか誤魔化しながらリオンは考えた。ある意味最後の謎だ。プロジェクトF・A・T・Eについてはその裏にいた男の名前すら掴めているのにあの最後の台詞と表情は今もリオンの脳裏に焼きついて消えない。
いや、むしろそれまでもが嘘のような気までしてくる。
最後にたった一つ残った、謎だった。
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