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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十三話「残った謎」
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ロンが雰囲気を台無しにしていた。

「お前が...?」

「そうだ、この飯を作ったのは俺...お気に召したか?」

透き通るようなクリアな声でそう聞いて来た。

「とっても美味しかったです!」

とフェイトはハキハキと答えた。青年はニッコリと笑った。こっちの方が医者に見える。

「そうか、そりゃ良かった。俺の名前はジャック。ジャック・サリヴァンだ。」

ジャックと名乗った青年はリオンに右手を差し出した。

「…なんだこれは。」

「見てわからないのか?握手だよ、握手。」

「なぜ僕と?」

「なんでって...そりゃあお前がこん中だったらリーダーだからだろ?」

違うか?とジャックは首をかしげた。

「・・・・・」

「ありゃあ、だんまりだよ。」

「そりゃあお前が初対面だってのに馴れ馴れしいからだろうよ。礼儀を持て礼儀を。」

「うん?そうかぁ?」

見た目爽やかそうな青年だが、中身は医者とは程遠い性格をしていた。

「まあいいや、マーク。お前ももう飯食ったろ?」

「あ、ハイ。食べました。」

「じゃあ行こうぜ、飛行訓練。」

「え、今からですか?」

「おおそうだ、早くて悪いことは無いだろ?」

こちらに振り向いた状態のまま「あー」と口を間抜けに開けながらマークはドアの外へ消えていった。
速い。ガルドを見つけた強欲の魔女もかくやと言うべき速さだ。恐らく何らかの武術の心得は有るのだろう。
だがあのジャックと言う男にはこの目の前でコーヒーのおかわりを(すす)る自称・医者と同じくリンカーコアは無いようだった。リオンはもう既に魔法か或いはそれに相当する力を持った何らかの技能(リオンで言えば晶術と剣術がこれに当たる)が使えるものとそうでないものには絶対的な差があると言うことを知っていた。とりあえず自分自身を例外として武術だけで並ぶのは困難を極める。

(考えすぎか...いや、シャルが喋らない所を見ると警戒するのには越した事はない。)

「リオンさん...?」

怪訝な顔をしてフェイトはリオンに聞いた。

「どうしたの?」

リオンは念話で答えた。

「(フェイト。警戒はしておくんだ。奴らが味方と決まっているわけじゃない。)」

「(…わかりました。)」

どうやらこういう口調でリオンが喋ると自然と敬語になるらしい。
これは地球にいる間にバルディッシュから聞いた事だが、戦闘面の話をしている時のリオンはフェイトに彼女の教師を思い出させるとか…リオンとしてはそんな事を聞いても「ふーん」と無感動に言うしかないが。
だがリオンは今のフェイトの態度からは何時もの物とは違うものを感じ取った。

(空元気、か。)

気を使わせない為...と
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