発動! MO作戦
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「南方方面ですか」
『そうだ。貴艦らがいるトラック泊地から南方、ニューギニア方面の攻略を陸軍と共同して行う』
「でも、長門さん、私たちもそろそろ内地に戻って整備しないと……」
瑞鶴の反論はもっともである。真珠湾の深海棲艦に対する前代未聞の艦上機による大規模奇襲作戦によって太平洋の深海棲艦を一時的に麻痺させた連合艦隊は、真珠湾の功労者でもある第一航空艦隊(赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴)を臨機応変に編成替えしながら、真珠湾とほぼ同時に反攻を開始したインドネシアからインドにかけての方面で、戦線を大きく押し上げた。
そして一段落したインド洋戦線から引き揚げた翔鶴と瑞鶴が台湾でいるとき、太平洋方面で息を吹き返した深海棲艦が、果敢にも本土への空襲を敢行した。これにより翔鶴と瑞鶴は本土に帰っての整備を先延ばしにし、太平洋での敵の捜索に駆り出されたのだ。
結局敵は発見できず、立ち寄ったトラックで、またしても新たな戦場へと行けと命じられたのである。翔鶴が疑問を呈すのも当然である。
『まあ、私としても本当はそうさせてやりたかったんだがな……』
通信機の向こう、内地の呉にいる連合艦隊旗艦、長門の声が曇る。
「ごめんなさい、二人とも。私が長門さんに無理を言ってこちらの戦線に参加させてもらったんです」
突然、通信機に向かった翔鶴と瑞鶴の後ろから、声がかかった。
純白の軍服に、赤いリボン。肩には軍人であれば高い地位を示すこととなる金のエポレット。足元だけは他の艦娘の例にもれず短いスカートで海上航行で邪魔にならないデザインだが、そこ以外は戦闘というよりも後方での勤務のためのような服装である。
練習巡洋艦鹿島。長門から南方での戦いを一任されている、第四艦隊の旗艦である。
「え、鹿島さんが私たちを?」
「ええ。そうよ。長門さんにニューギニア方面の攻略を任されちゃって。うちにいる空母は祥鳳さんだけだから」
『まあ、そういうことだ。本当は加賀や二航戦の飛龍、蒼龍を貸してくれと言われたんだが、な……』
『私が貴方たちを送るように進言したのよ』
突如、長門ではない声が通信機から流れた。彼女らにとっても聞きなれた声。
「げ、一航戦?」
「加賀さん?」
インド洋での作戦中に、座礁事故を起こし、いったん内地へと回航されていた第一航空艦隊のエースの片割れ、航空母艦加賀。今は内地で練度の低い航空隊の訓練中だと聞いている。
『げ、とはどういうことよ、五航戦』
「そのままの意味よ」
「わ、私じゃないですから……ず、瑞鶴、大人しくしてて……」
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