発動! MO作戦
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彼女の戦線離脱以降、久しぶりとなる先輩の声。
『……ま、いいでしょう。本当は私が行くはずだったのだけれど、整備が間に合いそうにない。そこで、私が貴方たちを指名したのよ』
「ど、どういう風の吹き回しよ、いつも『貴方たちにはまだ単独作戦を任せるわけにはいかないわね』とか『私たちのいない作戦など、あぶなかっしいわね』と言ってるくせに」
『決まっているでしょ。貴方たちの練度はまだまだなのよ。これから息を吹き返すであろう太平洋の深海棲艦主力との戦いの前にそっちで実戦経験を積んでおきなさい。以上』
「あ、ちょっと、それじゃ理由にならないのよ……」
言いたいことだけ言って、加賀の声は送信機の前から遠ざかったようで、引き留めた瑞鶴に対する反応もない。
バタン、と戸の閉まる音、続いて聞こえたのは長門のため息。
『全く、素直じゃない。……まあ、おおむねそういうことだ。頼まれてくれないか』
「わかりました。航空母艦翔鶴、これより連合艦隊旗艦の命により、第四艦隊の指揮下に入ります」
「同じく瑞鶴、第四艦隊の指揮下に入ります」
『うむ、頼んだぞ。それでは、通信を切るぞ』
その時、先ほどと同じような、戸の音が聞こえる。誰かが通信室に入ってきたようだ。
『まだ切れていないようね』
『なんだ、加賀。まだいうことがあるのか』
『ええ、ちょっと言い忘れたことが……五航戦、まだ聞いているかしら』
「は、はい。聞いています」
『理由はどうであれ、貴方たちだけで行う作戦としては過去最大規模よ。気を引き締めていきなさい。私の代わりにそこにいるのだから、不甲斐ない戦果はいらないわ』
「……はい」
『それから』
加賀の声が、突然一オクターブ下がった。
『先ほどの『げ』については、帰ってきたら聞かせてもらうわ。演習場の予約を入れておくから』
そういって、ブツン、という音と共に、目の前に鎮座する仰々しい通信機は、音を発しなくなった。
声が聞こえなくなったことを確認した翔鶴は、通信機の送信装置の電源を落とすと、青い顔でため息を漏らした。
「ん、翔鶴姉、どうしたの?」
「あなたのせいよ、瑞鶴」
※
「それでは、鹿島さん、しばらくの間、お世話になります」
「いえいえ、こちらこそ。最新鋭の空母が二人も来てくれるなんて、願ってもないです」
「安心して、私が来たからには百人力なんだから。こっちの戦線もぱぱっと片付けてあげるわ!」
「これ、瑞鶴」
「ふふふ、頼もしいですね。それでは、予定の戦力が整い次第、招集をか
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