船出の若鶴
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てるなら聞かないでください」
加賀は、一航戦を譲れない理由を、練度の低さであると位置付けた。逆に言えば、それはそう遠くない将来、覆される可能性のある要素だ。加賀の言葉は、そういう意味をはらんでいたのである。
それに、と加賀はさらに続ける。
「今、あの子たちを、最前線で戦い続ける一航戦に回してしまえば、これから先の戦いで、強くなった深海棲艦に対処できなくなる。あの子たちには、二線級で練度を上げてもらわないと困ります」
「あの子たちを訓練に専念させるためにも、頑張らないとね」
「そうですね、あと二年、いえ、一年半あれば大丈夫よ。そのころには、あの子たちも、安心して一航戦を任せられるようになっていると思います」
会議室とは打って変わって、優しげで、少し寂しげな加賀の声色。しかし、その心の内は、会議室で瑞鶴を打ちのめした時と何も変わらないことを赤城は知っている。
「相変わらず不器用ですね、加賀さんは」
「んっ……今何か言いましたか」
「いいえ、何にも」
深海棲艦に対する反攻作戦発動は、もう目前に迫っている。
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