第五十七話 善徳寺の会盟その九
[8]前話 [2]次話
「そしてですか」
「そこで関東のこととな」
「お館様のことをですか」
「どうするか誓われた筈じゃ、それにじゃ」
晴信はさらに言った。
「雪斎殿が入られた仲裁の刻限もじゃ」
「はい、近いうちにです」
山本も言ってきた。
「切れます」
「そうなってはな」
「やはり戦が近いでしょうな」
「だからじゃ」
このこともあってというのだ。
「今はじゃ」
「はい、ここは」
「今のうちに動きを見極めてな」
「策もですな」
「立てておこう、海津の源助にもじゃ」
城を守る高坂にもというのだ。
「話を伝えてな」
「そうしてですな」
「そのうえでじゃ」
まさにというのだ。
「策も用意しておくか」
「そのことですが」
ここで山本は主にこうしたことを言った。
「そろそろです」
「長尾殿とじゃな」
「決着をつけるべきかと」
「こちらが勝ってじゃな」
「流石に長尾殿は討ち取れぬとも」
例えそうなってもというのだ。
「そろそろです」
「うむ、わしとしてはな」
晴信もこう述べた。
「長尾殿はな」
「お館様の片腕にですな」
「したい気持ちはな」
それはというのだ。
「今も変わらぬ」
「左様ですな」
「だからじゃ」
「出来ればですな」
「生きて捕えてな」
そうしてというのだ。
「降したい」
「ですな、長尾殿の星を見ましても」
「落ちる気配はないな」
「むしろ輝きを増しておられまする」
これまで以上にというのだ。
「それを見ますと」
「長尾殿と決着をつけてもじゃな」
「討ち取ることはです」
「出来ぬな」
「はい、ですが決着をつけ」
「安心して美濃に進むべき時じゃな」
「左様かと。ですから」
それでというのだ。
「今はです」
「決着をつけるべきか」
「はい」
まさにというのだ。
「その時が北かと」
「それではその策はじゃ」
晴信は山本に対して言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ