第六幕その十
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「本当に」
「そうよね、楽しみを忘れた人に楽しみを思い出させる」
トロットは船長のその言葉に頷きました。
「それはね」
「とても素晴らしいことでね」
「オズの国の人達の義務であるわね」
「法律でも定められているね」
オズの国のそれで、です。
「そうだね」
「ええ、楽しみを忘れた人がオズの国に来れば」
オズの国にいる人はもう楽しみに包まれています、ですが外から来た人はそうとは限らないのです。
「その人に楽しみを教えて」
「一緒に幸せになる」
「それがオズの国だからね」
「そう思うと」
トロットも船長のお話を聞いて述べました。
「エイハブ船長はオズの国に来て欲しいわね」
「そうして幸せになって欲しいね」
「ええ、是非ね」
「そうなってもらって」
「ずっとオズの国にいて欲しいわ」
「楽しみを忘れた人こそ楽しみを味わってほしいね」
「本当にね」
船長に心から言うトロットでした。
「悲しい人だし」
「悲しみと楽しみはどちらが上か」
「楽しみに決まってるわ」
「その通りだよ、だからね」
「あの人と会えたら」
「楽しんでもらおう」
「無理強いはしないけれどね」
オズの国ではそれはいいこととはされていません、船長達オズの国の名士の人達もそうしたことはしません。
「そうしましょう」
「そうだね、それでだけれど」
「ええ、何あかしら」
「今何時かな」
船長はトロットに時間を尋ねました。
「日の高さを観たら三時かな」
「二時半よ」
トロットは懐中時計を出して時間をチェックしてから船長に答えました。
「今は」
「そうかい、二時半か」
「あと三十分でお茶の時間ね」
「そうだね、もう氷の島は近くだし」
見れば今にも停泊出来る距離です。
「それならね」
「島の人とね」
「お茶を飲んで」
「そうしながらね」
「恵梨香達のお友達になってもらおう」
「それがいいわね」
トロットは船長の言葉に頷いてでした、船長のお考えをよしとしました。そうして船はまた氷の島の傍の海に錨を下ろしてです。
それで島に入るとすぐにでした、イヌイットの氷のお家を見付けてそこにイヌイットの服を着た中年の男女がいました。
その人達のところに来てです、船長は五人にお話しました。
「この人達がだよ」
「氷の島に住んでいる人達ですね」
「そうなんだ」
こう説明するのでした。
「この人達がね」
「宜しくね」
男の人が恵梨香達二笑顔で挨拶をしてきました、見れば男の人も女の人もお顔立ちはアジア系です。
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