第六幕その八
[8]前話 [2]次話
「あの服は寒いところでは黒くて生地が分厚いんだ」
「それで暑いところではですか」
「白くて生地も薄くなるんだ」
「あの子のセーラー服は白いですが」
「あれは彼が好きだから着ていてね」
「寒い場所だとですね」
「黒いものになるんだ」
そうしたセーラー服になるというのです。
「もう本当にあっという間にね」
「着替えないといけないんですか」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「大変なんだよ」
「そうなんですね」
「それが船の旅の醍醐味でもあるけれど」
「それでもですか」
「気をつけないといけないよ」
「そうですか」
「そう、本当にね」
まさにと言うのでした。
「外の世界ではそうだよ」
「そう思うとオズの国は」
「そこも楽だよ」
「本当にそうですね」
「まあね、常春の国だとね」
ビリーナは海の水平線を観つつ述べました、水平線の向こうはは何処までも続いている感じになっています。
「色々と季節が変わることに気を配らなくていいから」
「貴女も楽なのね」
「かなりね」
「そうなのね」
「まあね」
また言ったビリーナでした。
「私にとってはそうよ」
「そういうことなのね」
「そこはあんた達と違うわね」
そうした考えだというのです。
「はっきり言って」
「まあ貴女らしい考えね」
「気楽に過ごせたら」
それでというのです。
「気温はどうでもいいわ」
「わしは考えるね」
船長はビリーナにも言いました。
「外の世界のことを思い出してね」
「オズの国に満足していてもよね」
「うん、思い出だからね」
それでというのです。
「そこから考えることもあるよ」
「今いる世界のことだけ考えるのじゃなくて」
「そこはだよ」
「成程ね、それぞれね」
「こうしたこともね」
こうビリーナに言うのでした。
「そうなるね」
「そうね、しかしね」
「しかし?」
「いや、私はオズの国にいるから」
それでというのです。
「ずっと生きていられて私の王国も築いてね」
「君は女王でもあるからね」
「鶏の国のね、そして沢山の家族がいるわ」
「そうなったのはオズの国に来たからで」
「もう充分過ぎるまでに満足しているわ」
「それはわしもだよ、ただ」
これ以上はないまでに満足していてもというのです。
「外の世界を思い出すことはあるよ」
「大変なことがあっても」
「それも懐かしい思い出だよ」
そうなっているというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ