暁 〜小説投稿サイト〜
とあるの世界で何をするのか
第十三話  多才能力者(マルチスキル)
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
ので、麦野さんは俺の顔をまじまじと見つめていた。

「間違いなく女よ。今はね」

 俺はそう言ってウインクしてみた。

「な……な……なっ……」

 麦野さんは驚いて言葉が出てこないようだけど、俺の「今はね」の言葉に気付かなかったのだろうか。もしくは気付いた上でその意味のほうに驚いたのだろうか。

「ところで、そっちの人は大丈夫? なんか変な感じだけど」

 麦野さんの向かい側に座っている滝壺さんの様子がおかしかったので、俺は取り敢えず滝壺さんの隣に座っている絹旗さんに聞いてみた。

「だいたいいつも超こんな感じですよ」

「あれ、でも、いつもとは何か違うって訳よ」

 絹旗さんが答えた後にフレンダが滝壺さんの異常に気付いたようだ。隣で見る分には気付きにくいのかもしれないが、向かい側からだと顔色が悪いのが良く分かる。

「AIM拡散力場が……おかしい」

 もしかしたら、俺の多才能力(マルチスキル)で異常になったAIM拡散力場の影響を、滝壺さんが受けてしまったのではないだろうか。

「大丈夫? 滝壺」

 麦野さんが声を掛ける。三人とも滝壺さんの様子を心配しているようだ。仕事の時には仲間に対してでさえ非情な一面を見せる麦野さんも、こういう時にはやさしいんだよね。

「大丈夫……でもないかもしれない。この前、この人の仕事を邪魔するために行った研究所で、ここに居る皆のAIM拡散力場がおかしくなった。でも、やっぱりこの人が一番おかしい」

「え? あれ、聞いたの!?」

 今、俺の仕事を邪魔するために俺の行った研究所に行ったと言ったのか……、だとしたらアイテムの面々もレベルアッパーを聞いたということになる。

「あれって、あの超変な音のことですか?」

「ええ、多分それで合ってるけど、聞いちゃってるのね」

 俺の「聞いたの?」っていう言葉に「超変な音」と返せるぐらいだから本当に聞いてしまっているのだろう。

「あの変な音に超何かあるっていうんですか?」

「ここで言うにはちょっと問題のあるモノがあるわね」

 更に聞いてくる絹旗さんに、俺は声を落として答えたのである。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ