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IF 完全平和ルート
偽装結婚シリーズ
偽装結婚最後の話
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ころが無いじゃないか」
「孫馬鹿もいい加減にして下さい。俺が言いたいのはその先です」

 蕩ける様な微笑みを浮かべて言い切ったその人に、青年はきっぱりと先を促した。
 つれない返答に唇を尖らせながらも、その人は素直に文章の中程にまで視線を動かした。

『お祖母さまは木の葉の里が出来てしばらくして、自分が女であると発表されました。
 そうしたらおおぜいの人達がお祖母さまに結婚してくれと言ってきたそうです。
 お祖母さまは、その当時のことは思い出したくない黒歴史っていっていました。
 黒歴史ってよくわかんないけど、とりあえずメイワクだったそうです』

 少女の幼い筆跡で書かれた文字は尚も続く。

『お祖母さまは結婚する気はなかったので、とても困りきっていました。
 そんなある日のことです。
 お祖母さまは居酒屋にいってはやけ酒を飲んでウップンを晴らしていましたが、その時に名案を思いつかれました』

 一枚目はそこで終わって、その人の手は続きの二枚目を捲る。

『自分が結婚を申し込まれているのは、結婚していないから。
 だったら結婚してしまえば一件落着じゃないか、と思われたそうです。
 そこで、お祖母さまはとなりでやけ酒に付き合わせていたお祖父さまに……――』

 青年が目元を押さえて大きく嘆息する。
 青年の脳裏では彼が未だに少年と呼ばれても可笑しくなかった年頃に目撃した、あの晩の光景が色彩鮮やかに甦っていた。

『そもそもこんな七面倒な事態に陥ったのはオレ――じゃなかった、私が未だに独り身なせいだ!
 となれば話は簡単! マダラ頼む、私と結婚してくれ!! そうすれば万事解決!
 なに、少なくても、最短で三年――いや、二年間私に付き合ってくれるだけで良い!
 愛人だろうと側室だろうと何人持っても別に文句言わないし、寧ろ持ってくれと推奨もするし、家も別居で構わないし、まともな旦那の振りもしなくていいから!
 あと何だったら結納金代わりに、この間開発したばかりのお前が欲しがっていた新術について詳しく書かれた巻物も進呈する!
 だからどうか、私に数年だけでいいからお前の時間を頂戴!
 ――……いや。まどろっこしい言い方はやめて、もっと率直に言った方がいいか。
 マダラ、一生のお願いだ! 私と偽装結婚として下さい!!

 ――と、この様にプロポーズしたそうです。
 正直意味はさっぱりわかんないけど、それを聞いた居酒屋の人達はみんな固まって動かなくなったってお祖母さまが言っていたから、きっと凄いプロポーズだったんだなあと思いました』

「……………」
「……………」
「……………因みに、この発表を聞いた他のアカデミーの教員達は皆、笑顔のまま硬直。たまたま室外で年少組の発表を
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