第四章
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「一つは本物だが」
「もう一つは偽物です」
「ミミックだな」
「この塔にもいましたし」
ミミックもというのだ。
「ですから」
「ここでもだな」
「ミミックも倒せますが」
「それでもだな」
「まずは秘宝を手に入れましょう」
「この塔の最後のな」
「そうしましょう」
こう話してだった、そのうえで。
ビクトリアは宝箱達に近付き右の方を見た、そしてその宝箱を開けると。
指輪が一つあった、ビクトリアはその指輪を見て言った。
「この指輪は」
「かなりのものの様だな」
「はい、神具程ではないですが」
「それでもだな」
「持つ者の体力を少しずつですが自然と回復させてくれる」
「そうしたものだな」
「素晴らしい価値があります」
右の宝箱の中にあったその指輪はというのだ。
「実に」
「それは何よりだな」
「そして」
ビクトリアはあらためて言った。
「左側は」
「まずミミックだな」
「若しくはその様な」
「モンスターだ」
「開けますか」
「そうすればええ」
これが玲子の返事だった。
「自分がそう思うなら」
「開けたいならですか」
「そうしたらええ」
こう言うのだった。
「何か出て来てもな」
「戦いそしてですね」
「倒す、ほなな」
「それでは」
ビクトリアは玲子の言葉に背中を押された、そうしてだった。
実際に宝箱を開けた、二人共モンスターが出て来るのは間違いないと確信していた。確かに宝箱を開けると出て来た。
それは神々しい姿の見事な金髪を立たせた黒目の天使だった、背中の二枚の翼はかなりの大きさだ。全身をプレートメイルで武装していて端整な顔立ちである。
その槍を持つ天使を見てビクトリアは言った。
「天使長ウリエルですね」
「如何にも」
天使は確かな声で答えた。
「この塔の主である」
「一つ言っておきますが」
ビクトリアはそのウリエルに断る様にして告げた。
「私はムスリムなので」
「キリスト教とはだな」
「関係がないので」
「他の神のことには関わらない」
ウリエルはビクトリアに清らかで毅然とした声で答えた。
「一切な」
「左様ですね」
「そうだ、この世界での絶対の掟はだ」
神々同士の取り決めでもある、ヤハウェの従者である天使達もこの取り決めは絶対に守らなくてはならないのだ。
「私も守る」
「それでは」
「秘宝なぞ私にとっては些細なものだ、臣下の者達もだ」
二人が倒した彼等もというのだ。
「もう天界で復活している」
「左様ですか」
「問題ない、むしろだ」
「むしろとは」
「我々神々の従者もこの世界に危機が迫っていることは知っている」
「では」
「君達が星の者達であることもな」
こうしたことも知っているというのだ
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