二十八 狙い
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大蜘蛛の上にいる人物。
それは、現在カブトの腕をつかんでいる鬼童丸その人だった。
「き、鬼童丸がふたり…!!??」
どういうことだってばよ!?と愕然とするナルの横で、シカマルは(そういうことか…)と得心がいった。
大蛇丸が乗った蛇が大きな尻尾を振るう。
その尻尾の先はカブトの腕をつかんでいた鬼童丸へと命中した。
「うぐ…ッ、」
不意を突かれた鬼童丸がカブトの腕を離す。そのまま吹っ飛ばされた鬼童丸の身体が空中でぼふんっと白煙に包まれた。
中から現れたのは────右近。
謎が即座に解けたものの、シカマルは目の前の光景に一瞬で目を奪われた。
「…うぁ!!??」
「ナル!!」
吹っ飛ばされた鬼童丸、否、右近が勢いよくナルにぶち当たる。
まさか自分のところへ飛んでくるとは思ってもいなかったナルは思いっきり欄干に頭をぶつけた。
転倒する。
「ナル…!!??」
強かに頭を打ったらしいナルへ、シカマルは焦った声で呼びかける。気絶したらしいナルを必死で呼びかけていたシカマルは、ハッと足場を見下ろした。
大蜘蛛と大蛇の重さに耐えきれず、天地橋がギシギシ崩壊し始める。
橋の手摺が捻じ曲がり、大きな音を立てて瓦礫と化してゆく橋。
その真下は崖だ。
橋向こうの大木の幹まで吹き飛ばされた右近を、ヤマトは肩越しに確認する。
大蜘蛛の上の鬼童丸を見上げ、「なるほど…あっちが本物ね」と彼は苦笑した。
つまり、左近の背中で眠っているように見せかけていただけで、最初から右近と左近は二人に別れていたのだ。
一方は左近/右近と一つの身体を二人で共有しているように振舞い、もう一方は鬼童丸に変化していたのである。
【双魔の攻】という血継限界を持つ右近と左近だからこそ、出来た芸当だ。
要するに、先ほどカブトの身体を乗っ取ろうとした鬼童丸は右近が変化した姿だったのだ。
おそらく、彼らがよく口にしていた兵糧丸も変化を持続させるためのチャクラ増強のためだったのだろう。
左近と鬼童丸の仕草がよく似ていたり、同時に同じ発言をしていたのも、兄弟故。
ヤマトは現在の戦況を見極めんと周囲を見渡した。
橋向こうまで吹き飛ばされた右近は暫くは身動ぎできないだろう。
ナルは吹っ飛ばされた右近の巻き添えに遭って気絶している。
シカマルはナルが橋から落ちないように【影真似の術】を発動中だ。
となれば、現在、戦力になりそうなのは、大蛇丸の大蛇と渡り合えている大蜘蛛の上に乗る本物の鬼童丸。
そして、左近と自分だけだろう。
だが、巨大な蛇と大蜘蛛の戦いなんぞを橋の上で繰り広げたら、結果は目に見えている。
案の定、足元から崩壊の音が聞こえてきた。
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