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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十八 狙い
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ぐに見据えたナルは、直接サソリと対決したいのの話を思い出す。
フードを被った得体の知れない誰かが突然介入し、サソリと共に消え去ったという。
天地橋の情報も、正確にはサソリからではなく、その謎の第三者が教えてくれたといういのの話を脳裏に描きながら、ナルはカブトへ答えた。


「残念だけど、どちらも外れだってばよ」

囚われの身でもなく、亡き者でもない。ということは、まだサソリは生きている。
ナルの返答で悟ったカブトは喉を震わせて嗤った。


「それは残念だね」


視線を森の奥へと向けて、心から残念そうにカブトは呟いた。
かつての部下だというのに、亡き者であってほしいと願っているかのような物言いに、ナルは眉を顰める。
大蛇丸がいないというのに、それどころかヤマトの木遁とシカマルの影にカブト自身が囚われの身であるというのに、やけに呑気なのも気にかかる。


だが余裕綽々の表情を浮かべていたカブトの顔が直後、歪んだ。


「お前…!!」

傍らにいる鬼童丸のほうを睨む。
いつの間にか鬼童丸に腕を掴まれていたカブトは、自分の体内に忍び寄るソレに気づくと忽ち顔を強張らせた。


「流石、医療忍者…一筋縄じゃいかねぇな」
「…っ、この術…!そうか、お前……ッ」

じわじわと相手に気づかれぬうちに自身の肉体を分解してカブトの体内に入り込もうとしていた鬼童丸が、ニヤリと嗤う。
医療忍者であるが故に、異物が体内に潜入すれば即座にカブトに排除されることを見込んで、徐々に己の細胞を送り込んでいたが、気づかれたのなら仕方ない。

本来は暗殺専門の術だが、相手の身体を乗っ取れば、木ノ葉へと連れ帰るのも容易くなる。


カブトほどの優秀な医療忍者ならば体内に己の細胞が侵入している時点で速攻追い出されているが、身動きが取れなくなっている現在ならば、乗っ取る事も可能だろう。
やはり予想通り、カブトはすぐさま自らの体内の異変に気づき、侵入者を排除しようとチャクラを練り始めた。

だが、ヤマトの木遁とシカマルの【影真似の術】で身動きできないぶん、自由が利かない。
今がチャンスだ。


そう考え、一気に【寄生鬼壊の術】を発動させようとした鬼童丸は、足場が大きく揺れた事に悪い予感を覚えた。



刹那、周囲の木々がバキバキと大きな音を立てて倒れてゆく。
同時に巨大な大蜘蛛と巨大な蛇が天地橋へと飛んできた。
















「な…!!??」
「大蛇丸さま…!!」

巨大な蛇の頭に乗っている大蛇丸を見遣って、カブトの顔が明るくなる。反面、ナル達の顔が一瞬で曇った。
否、その顔は大蛇丸への恐怖よりも驚愕に彩られている。


大蛇丸と対峙している
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