二十八 狙い
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ングし、身を守ろうとする鬼童丸の耳元で、蛇のようなねっとりとした囁き声が聞こえた。
「かくれんぼでもするつもり?残念だけど、私は鬼じゃなくて」
刹那、鬼童丸の目の前に巨大な蛇が大口を開いた。
「蛇よ」
ばくん、
驚愕の表情を貼り付けた鬼童丸を丸ごと呑み込んだ巨大な蛇。
一切の躊躇なく、冷酷に鬼童丸を喰った蛇の上に、大蛇丸は佇んでいた。
狭い森の中、器用に巨体をずるりと這わせた蛇は大蛇丸を乗せたまま、天地橋へ戻ろうとする。
その腹の内から鬼童丸はくくっと嗤った。
「いくら蛇でも、腹壊すぜよ」
刹那、一気に丸みを帯びた蛇から大蛇丸は跳躍した。
飛ぶと同時に、蛇が破裂する。
「こんなに大量の蜘蛛を喰ったらな!」
周囲には散乱する夥しい数の小さな蜘蛛と、巨大な大蜘蛛。
蛇の中で鬼童丸が大蜘蛛を【口寄せ】したのだ。
蛇の体内から脱した鬼童丸を真正面から認めて、大蛇丸はふっと口角を吊り上げた。
「どうやら…貴方が本物の鬼童丸で間違いないようねぇ」
木々の合間から天地橋をチラッと見やる。
橋の上にいる鬼童丸と、大蜘蛛の上に乗る鬼童丸へ、大蛇丸は視線を往復させた。
ヤマトに呼ばれて橋の上へ飛び出してきた鬼童丸にはどうも違和感を覚えたのだ。
「アンタ相手にゃ、攻略するにも色々対策立てねぇといけないくらいわかってるぜよ」
「なるほどねぇ」
蛇のような狡猾な双眸をゆるゆると細めて、大蛇丸は天地橋を横目で眺めた。
左近の隣にいる鬼童丸を視界の端に捉えつつ、目の前の鬼童丸に顔を向ける。
「でも攻略できるかしら────裏切者の貴方達に」
矢が飛んできたと思ったら、次の瞬間には大蛇丸の姿が掻き消えた。
急な展開に呆けていたナルとシカマルは、横を駆け抜ける存在の怒声にハッと我に返る。
「「ぼさっとしてんな!!」」
左近と鬼童丸がカブト目掛けてクナイを投擲する。すぐさま本来の目的を思い出したヤマトが印を結んだ。
橋から生えた木の柱がカブトを拘束せんと迫る。左近と鬼童丸のクナイに気を取られていたカブトは、ヤマトの木遁忍術に捕まりそうになって慌てて跳躍しようとした。
だが、足が動かない。
「【影真似の術】────成功」
いつの間にかシカマルの足元から伸びた影が自分の影と繋がっている。左近と鬼童丸の声でシカマルが即座に術を発動させたのだ。
大蛇丸の介入で動揺したあまり、忘れていたが、天地橋に来た理由はサソリと落ち合う手筈となっている大蛇丸のスパイを拘束し、情報を入手する
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