二十八 狙い
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凄まじい破壊力と速度で飛んでゆく矢。
風を切り裂き、障害となる木々をものともせず。
狙い通り、天地橋へと一直線に向かう。
直後、大蛇丸の傍らの蛇がどうッと音を立てて倒れた。
「────あら」
先ほどカブトを締め上げようとして、とぐろを巻いた蛇が絶命している。蛇を射抜いたソレはそのまま勢いよく大蛇丸へと向かった。
カブトもヤマトも、あまりのスピードに、まだ反応できていない。
矢を放った鬼童丸は即座に蜘蛛の糸を噛み切った。
矢にチャクラを通わせる糸を付けることで命中精度を上げていたが、これ以上糸をつけていると逆にこちらの位置を把握される。
蜘蛛の糸を回収しつつも、鬼童丸の眼は矢の向かった先を油断なく見据えていた。
既に矢は標的へと一直線だ。外れることはまずない。
狙い通り、矢は大蛇丸に向かって風を切り裂き。
次の瞬間、大蛇丸の手の内にあった。
「……ッ、うそ、だろ…っ」
完璧な角度・完璧なタイミング・完璧な軌道、全てが完璧だった。
遠く離れた場所からの攻撃。邪魔な障害物である大木をも物ともしない破壊力。
凄まじい速度。蜘蛛の糸でコントロールし、精度も高めた。
にもかかわらず、その矢を無造作に手で掴んだ大蛇丸は、傍らで白煙と化した蛇を見ている。その眼が蛇から森へと、ぎょろり移行した。
蛇がカブトに一度巻き付いた際に、脱げたフード付き衣類。
それが風に煽られ、空へ舞い上がった。
ヤマトとカブトが一斉に、矢が飛んできた方向へ視線を投げる。
彼ら二人の視線がこちらへ向くよりも素早く、鬼童丸はすぐさまその場を離れようとした。
森中に仕掛けた蜘蛛の糸が振動している。
チャクラを通わせた蜘蛛の糸を張り、触れた者の位置を瞬時に感知する【蜘蛛巣域】。
その蜘蛛の巣の領域に何者かが近づいて来ている。
振動する糸が徐々に近くなる事実に、鬼童丸の肌がざわざわと総毛だった。
「みィつけた」
聞き覚えのある声が耳朶を打つ。一気に血の気を失った鬼童丸は、目の前に迫る蛇にハッと我に返った。
大きな口から覗く牙が、鬼童丸の顔目掛けて刺さりかかる。
「チィッ、」
その寸前、鬼童丸は口から蜘蛛糸を発射した。
蜘蛛の糸をまともに受けて蛇が墜落する。鬼童丸は即座に周囲へ視線を走らせた。蜘蛛の糸を噴出させ、木から木へと飛び移りながら警戒する。
音もなく滑るように迫りくる蛇が視界のあちらこちらで映って、鬼童丸は冷汗を掻く代わりに、体中の汗腺から【蜘蛛粘金】を分泌した。
空気に触れると即座に硬質し、金属化する粘液。それで身体中をコーティ
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