第四十一話「天央祭・U」
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「…ふむ、このたこ焼きはとても美味しいな」
天央祭を満喫している彼女は外にでて先ほど買ったばかりの特性たこ焼きに舌太鼓をうつ。あの後裏切りともとれる彼女の行為を特に咎めることなくむしろ「一か所のブースにいるよりたくさんのブースを周ってきた方が料理もおいしくなりますよぉ」とアドバイスをしてメイドカフェに釣られないようにしていた。そのうえで自らは士織を連れデートへと向かってしまい。一人残される形となった彼女は美九の言うとおり食べ歩きをする事にしたのである。
「美亜様!この唐揚げはとっても美味しいですよ!」
「何を言っている!このフライドポテトこそ天央祭の料理の中で最も美味な料理だぞ!」
「このリンゴ飴なんていかがですか?とても美味しいですよ」
「それよりもお姉さま!この恋人用のポッキーを是非私と一緒に食べてください!」
しかし、彼女が誘宵美九の従妹、誘宵美亜だと知ると美九のファンや彼女の容姿に惚れた者たち、そして一定数いる女子たちによって彼女の周囲はいっぱいであった。
「(…少し、うっとおしいな)いい加減離れてもらえますか?邪魔です」
「そんな事を仰らないでください!」
「それよりも美亜様!一緒にお化け屋敷を見に行きませんか!」
「Hey、子猫ちゃん。僕の車で一緒にドライブしないかい?」
「ああ〜ん!お姉さまの素敵な声が私の耳に…!」
「…邪魔です。消え失せろ」
美亜は少し苛立ちを感じ語尾を強めて言う。その言葉に男たちは恐怖を抱き女たちはその場に倒れてしまう。美亜は空となったたこ焼きの容器を右手に持ってその場を離れる。幸い、追ってくる者は誰もいなかった。
「…ふう、これで食べ歩きができそうですね」
美亜は容器を捨てると早速周辺の屋台や店に片っ端から入り料理を頼んでいく。今回の為に美九がくれるお小遣いを一切使わずに取っており美亜の財布は三つほどに分割しなければいけない程中身は潤っていた。
三十分ほどすれば彼女は二号館にある料理店の半数を周っていた。彼女の周辺にいる人たちはよく食べる彼女に驚いているが彼女は特に気にした様子も見せずに右手に焼きそばを、左手にフランクフルトを二つ持ち口にはアメリカンドッグを咥えていた。
普通なら汚らしいとも思える行為だが彼女の人間離れした容姿によってそれすら一種の芸術の様にすら見えていた。
「(ふむ、大体回ったしそろそろ一旦別のブースを見に行くか。美九のライブまで時間はあるからな)」
『最前列のチケットです!是非最前列で見てください!』
そう言って笑顔で最前列のチケットをくれた美九。彼女は士道との約束云々を抜いても美九を応援する為に見に行こうと思っていた。
「さて、次は何処に行くか…」
「なーなー兄ちゃん。
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