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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》
第一部
第三章 異能訓練
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そう言うと彩弓さんはあっさり腕の拘束を解いた。
「異能を発動したものの、どうしてよいか分からず動けない。初めはみな同じと言いたい所ですが、実戦ならば格好の的でしょう」

そう言いつつ彼女は手を差し伸べた。
私は未だに続く苦痛に呻きながらその手を取った。


「本来ならば順を追って教える所ですが一度実戦を経験して欲しいためあえていきなり始めました。……どうです? 初めての戦闘は?」
「……ホントに痛くて涙が出ます。もう嫌いになりました」
「そうでしょう」
でも、と彼女は言葉を続けた。
「だからこそ、彼は凄いと思いませんか?」
そこであのバカの顔が浮かんだ。
「あれだけの傷を受けてなお、仲間を想う。誰にでも出来ることではありません」
「……そうですね」

(おれはみんなを守るために戦う!)

安藤がみんなの前で叫んだ言葉が頭に浮かぶ。
あのバカが大事に思ってくれたように、私だってみんなが大事だから。

「私も負けていられない。お願いします!」

彩弓さんが今日初めて私に微笑んだ。


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訓練場所はいつも異能検診の時に千冬ちゃんが用意してくれていた荒野。
天気は晴れていて暑い日差しの中、強く吹き抜ける風が気持ちいい。

「念の為に命に関わるような攻撃は禁止ね、それ以外はなんでもあり」

一十三さんは私と千冬ちゃんのペアの監督役を引き受けてくれている。

とそこで千冬ちゃんが一十三さんにリッスンを預けていた。
傷つくのを嫌がったのだろう。
普段は見られない彼女の真剣さが感じられた。

先程の不安はどこへやら、今はいい感じに肩の力が抜けていた。


「前にも検診の時に何回か戦ったことあるけど、千冬ちゃん、全然本気じゃなかったでしょ?」
「……本気出すと、鳩子、けがする」

やっぱり手を抜いてたか。

「やっぱり怖いもんね。異能で傷つくのも、傷つけるのも」
「……」

「今まではそれでもよかった。でも、これからは違う。傷つけるのを怖がってたらなにも守れなくなっちゃう」
「……」

「仲間を守って、敵もなるべく傷つけないで勝つ。そのために私達は特訓するんだ。千冬ちゃんはどう?」
「……千冬も同じ」

千冬ちゃんは文芸部のかわいい後輩だ。
ならば先輩として道を示してやろうじゃないか。

「じゃあ、本気で来てね」
「……わかった」

両者、向かい合って
「では、始め!」
一十三さ
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