爪編:トークルームU
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そう言いながら、屈託のない笑顔を見せるオウカ。
…彼女は孤独の意味を知っている…だからこそ僕達を迎え入れてくれたのかもしれない。
(シアンは焦りを感じた)
《ソウの気持ち》
「GV、その包みはどうした?」
「ああ、兄さん。オウカからのクッキーだよ。これは兄さんの分」
「…ああ、すまないな」
兄さんは包みを開けると早速中身のクッキーを食べ始めた。
こう言うのもあれかもしれないけど、無能力者の人が作ったお菓子を食べる兄さんは、昔からは想像出来なかったな。
シアンとテーラと暮らし始めてからかもしれない。
兄さんが少しずつ穏やかになっていったのは。
「…作り方が似ているのか、テーラの作った味に似ているな…」
「兄さん……兄さんは本当は…」
あの時のテーラの手を取りたかったんじゃ…そう聞こうとして…出来なかった。
「……お前が気にすることじゃないだろう。お前の傍にいるのは俺が望んでしていることだ。あいつもそれを理解している」
「……兄さん…」
「お前もさっさと食べてしまえ。オウカの好意を無駄にするな」
「うん…美味しい…」
(シアンは焦りを感じた)
(パンテーラとの心の繋がりを感じた)
《紅いレプリロイドと少女レプリロイドの話》
「…っ」
オウカさんは自分で購入した小説を読んで目に涙を滲ませていた。
「それ、悲しい話なの?」
「はい、紅いロボットの男性とロボットの女性のお話なんです。」
GVがハンカチを渡すとオウカさんはそれで涙を拭いた。
「どういうお話なの?オウカさん?」
「はい…」
オウカさんは小説の内容を話してくれた。
この話は2人がそれぞれ所属する組織が陰謀によって敵対することになり、ロボット同士での平和を願う女性は想いを寄せる男性のいる組織の元に向かった。
しかし、敵対組織には女性の兄もおり、戦いが進むに連れてその兄とも戦うことになり、男性は女性の兄を倒してしまう。
それが原因で女性は男性のいる組織から離れ、兄の復讐のために男性と戦い…命を落とすことになる。
命を落とす直前にロボットだけの世界で一緒に暮らすことを望んだが、男性はそれを幻と断じた。
女性はロボットだけの世界で男性と一緒に暮らしたかったと儚い笑みを浮かべて落命したらしい。
「っ…悲しい…お話だね…」
私も互いを想っていたはずなのに互いの気持ちが完全に通じ合わないまま、終わってしまった2人の関係に涙を流す。
「はい、ですが…この2人の関係が…ソウさんとテーラさんに似ていると思ったんです」
「兄さんとテーラに?」
「はい、互いを大事に想っているはずなのに、
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