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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》
第一部
第一章 裏返る日常
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うに傷が消え、腕や足などの痛みも感じない。
さっきまであった怪我が綺麗に無くなったせいか違和感は強いがそれだけで済んでいた。
念の為、力を入れたり体重を掛けたりするもいつもと変わらなかった。

「大丈夫だよ。相変わらず凄いですね、始原。ありがとうございます。千冬ちゃんも来てくれてありがとうね」
「うん、心配した。アンドー」
「……心配かけてごめん。みんなも……」

誰も何も言わなかった。
やはり心配させていたらしい。

さっきからすぐそばに居た幼なじみは泣いていたためか目が腫れていた。
「鳩子も看ててくれたのか?」
「うん、心配したんだよ? じゅーくんが、死んじゃうんじゃないかって」

水が滴る音がした。
そこには幼なじみの辛そうな顔があった。
他のみんなも思うところがあるのか誰も鳩子の言葉を大袈裟だと言う者はいなかった。
それだけ危険な状態だったということか。

「わるい鳩子、心配かけて」
「どうしてあんな危ない所に行ったの? どうしてみんなを呼ばなかったの?」
「それは……」
鳩子の問いにおれは答えようとして、踏みとどまった。

そうか。
まだ鳩子達はこの闘いのことを…。

ふと彩弓さんの方を見ると、彼女はおれが言い出す事を待っているようだった。
しかしどうしてか本当のことを言うべきか迷う自分がいた。

「……安藤くんは、まだ怪我が治ったばかりです。その辺りのことは後日にしましょう」
なにかを察した彩弓さんの、こちらの意を汲むような配慮に救われた。

「もう危ないことはしないでね。じゅーくん。どうしてもの時は私たちを呼んでね」

「……分かった。ギルティア・シン・呪雷の名に誓お……」
「じゅーくん?」
「はい、分かりました」
ようやく鳩子の涙も止まってくれた。


後は。
一人机に寄りかかり黙って見守る赤髪のタメに感謝を口にしよう。
「ありがとな、灯代」
「あたしは別に何もしてないけど?」
「まあ、そうくるよな。灯代は」

少しの間黙考し、
「でもわざわざこんな時間におれのために駆けつけてくれたわけじゃん? すっぴんのままでさ」
「ちょっ! 今それ言う??」
見るなとばかりに顔を手で覆い隠す灯代。
今思い出したのか下を見て俯く鳩子。
少し顔を背ける彩弓さん。
いつも通りの千冬ちゃん。
けどみんなすっぴんはすっぴんで割といい線いってるなとおれは思った。

まあそれは置いといて、
「心配してなきゃそこまではしないだろ? だからその礼っていうか、みん
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