第五十七話 善徳寺の会盟その六
[8]前話 [2]次話
「流行っているのです」
「左様でありますか」
「近畿等では」
「それでお二方にもお出ししたでおじゃる」
もてなし、そして今川家の豊かさつまり力を見せる為にもというのである。つまりこれも政であるのだ。
「この場は」
「ご好意感謝しますぞ、そして」
晴信は今度はこう言った。
「この度のお話ですが」
「そのことでおじゃるな」
「今川殿としては」
「麿は是非にでおじゃる」
「和をですな」
「お二方、ご両家と結びたいでおじゃる」
こう言うのだった。
「互いに」
「それがそれがしも同じこと」
晴信は義元に笑みを浮かべて答えた。
「だからこそでござる」
「この場にでおじゃるな」
「参上しました」
そうしたというのだ。
「この度は」
「そうでおじゃるな、それでは」
「それがしも同じでありますぞ」
氏康も義元に笑って答えた。
「だからこそであります」
「来られたでおじゃるな」
「左様です」
こう義元に答えた。
「まさに」
「それでは」
「ここで確かな盟約を結びましょうぞ」
晴信からこう言った。
「我等で、それで当家はです」
「どうされるでおじゃるか」
「北条殿ご嫡男殿に娘を一人送ります」
正室にというのだ。
「そしてです」
「そのうえで、ですな」
「今川殿から嫡男太郎にです」
「麿の娘、姫をでおじゃるな」
「迎え入れたく思いまする」
「ではです」94
今度は氏康が言ってきた。
「それがしもです」
「どうされますかな」
「武田殿から姫君を迎え入れ」
晴信に応えて言うのだった。
「今川殿にです」
「姫君をですな」
「送ります」
「では麿もでおじゃる」
義元も言ってきた。
「武田殿に姫を送り」
「そしてですな」
「北条殿から姫君を迎えます」
こう晴信に答えた。
「そう致します」
「三家が三家共ですな」
「姫を送り迎える」
「そうなりますな」
「これで、でおじゃる」
まさにと言うのだった。
「話が大筋でまとまったでおじゃるな」
「はい、後はどの姫様をお送りするか」
雪斎が微笑み義元に応えた。
「そこを決めるだけです」
「左様でおじゃるな」
「彦五郎殿には早川をお送りしよう」
今川に姫を送る氏康が言ってきた。
「そう致そう」
「あの美貌で名高い北条家の姫君達の中でも特にという」
見れば氏康の顔立ちはかなり整っている、知的であるだけでなくきりっともしている。実によい男ぶりである。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ