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蒼と紅の雷霆
蒼紅:第二十四話 新装
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シアン……とにかく、シャオ。他に必要な物があったらまた頼むよ。よろしく」

「任せてよ!あの紫電を倒したGVとソウなら、きっと奴らにも対抗出来る…打倒エデンのため、協力は惜しまないからね!」

「…………」

そんなGV達をシアンは何処か他人事のように見つめていた。

時間も遅くなったので行動は明日からと言うことにしてシャオは屋敷を後にして、GV達は寝静まっていた。

「シアンさん、眠れないんですね?どうぞ」

「オウカさん…」

シアンにオウカが差し出したのは温めたミルクであった。

カップに入ったそれを受け取りながら一口啜る。

砂糖が入っているためか、少し気持ちが落ち着いたような気がする。

「美味しい…」

体がじんわりと暖かくなるような感覚にシアンは表情を綻ばせた。

「良かった…テーラさんとモルフォさんのことがあってからシアンさん…元気がありませんでしたから」

パンテーラの偽名が出てきた次の瞬間にシアンの表情は曇る。

「本当に…GV達とテーラちゃん…戦わないといけないのかな?テーラちゃん、お兄さんのこと…きっと…」

ソウのために手作りのペンダントまで送り、時々ソウに送る視線は自分とオウカがGVに向けるものと同じなのだ。

そして結果的にその手作りのペンダントはアシモフの凶弾からパンテーラを庇ったソウの命を守った。

そして今ではそのペンダントもシャオによって修復され、カゲロウ発動用のフェザー製のペンダントの機能を持って今でもソウが持っている。

互いに大切にしているはずなのに敵対している現状がシアンには悲しくて仕方がなかった。

「…シアンさん……そうですね、どちらも大切な…譲れないものを背負い過ぎちゃってるんですね…きっと」

パンテーラはエデンの同志達、ソウは家族。

どちらも根が真面目な性格だから余計に手放せないのだろう。

「あんなに近かったテーラちゃんが今じゃ物凄く遠い人に見えるの…」

エデンには無能力者に虐げられた能力者が集まった組織で、それはシャオが言うにはかなりの規模であり、それを背負うパンテーラ。

皇神の強制から逃げてGV達に守られてきた自分にはその重圧は理解出来ない。

「大丈夫です。私もテーラさんとはあまり接したことはありませんでしたが、とても優しい人なのは分かります。今は無理かもしれませんが、何時か…きっと…」

「オウカ…さん…」

抱き締めて優しく囁いてくれるオウカの優しさが嬉しいのと同時にこれがGVの傷付いた心を癒していることに嫉妬を覚えてシアンは自己嫌悪に陥るのであった。
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