第三十八話「ある日の一時」
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去年竜胆寺のブースに行った奴が何言ってるんだよ」
殿町の言葉に安田は苦笑しながら突っ込む。士道が教室を出て行き暫く経った頃そう言えば、と思い出したように安田が呟く。
「知ってるか?竜胆寺にまた転入生が来たらしいぜ」
「本当か?またこんな中途半端な時期に来たな」
「実際に来たのは夏休み前らしいがな。そして、聞いて驚くなよ。そいつはなんと美九たんの従妹らしい!」
「何!それは本当か!?」
「ああ、しかも美九たんに負けず劣らずの美少女らしいぞ」
「くぅ〜!一目でいいからみてみたい!」
「いや、結構簡単に会えるかもしれないぜ。休日は偶に目撃情報があるからな。これがその写真だ」
そう言って安田はスマホから一枚の写真を見せる。そこにはクールビューティーと言う言葉が似合いそうな美少女が映っており日本人離れしたその美少女はモデルをやっていても不思議ではなかった。
「こ、こんな美少女なのか…!」
「ああ、何でもハーフらしくてな親のどちらかがヨーロッパ系の人らしく最近ここに引っ越してきたらしい」
「これで竜胆寺の顔面偏差値が上がったな」
「幸いと言うべきか悲しむべき何かやると言う情報はないからな。恐らく来たばかりだから慣れる事を優先したんだろう」
「…この人に、接客されたい」
「おーい、さっきお前が言っていた娘はいいのかよ」
「はっ!そうだった!俺には名前も知らない娘がいるんだった!」
「お前の妄想じゃなければな」
「そんなわけあるか!俺はこの目でちゃんと確認して実際に話したんだぞ!」
「分かった分かった。そうがなるな。そうなにいうなら探して実在するって証明してくれよ」
安田の言葉に殿町はピタッと停止する。
「…そうだな。そうだよな!ここで話していても意味がない!安田、悪いが俺は早速あの子を探しに行ってくる!」
「おう、気を付けろよ〜」
あっという間に駆け出していく殿町に安田は軽くエールを送るのであった。
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