ターン15 暗黒の百鬼夜行
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素の鳥居浄瑠として吐き捨てる。実体化したニゲ馬車によりかかるようにして腹を押さえながらもどうにか立ち上がり、再び誰もいなくなった座席へと転がり込んだ。荒く2、3度呼吸し、どうにか息を整える。
再び起き上がった時にはすでに、彼はエンタメデュエリストへと戻っていた。
「『破壊されたワイルド・ホープの効果により、デッキより呼び出されるは世界に誇る我らが歌姫、魔界劇団−メロー・マドンナにございます。それではこの場をお借りしまして、今宵の演目内容の発表をば致しましょう。今回舞台となりますのは、見ての通りの廃図書館。草木も眠る丑三つ時、闇に紛れしは妖怪変化。それに立ち向かうは皆様おなじみ、魔界劇団の面々にてございます。魔界劇団の悪霊退治、見事恐るべき物の怪に打ち勝ちましたならば、どうぞその時は拍手ご喝采!』」
「そう、それですよ。一見あなたのそのそぶりは、どんな時でもスタイルを崩さない誇りと矜持の成せるもののようにも見える。実際、あなた自身もそう信じているのでしょう。ですが、それは断じて違いますよ?あなたは単に、それ以外のやり方を知らないだけに過ぎない。知らないからこそ変化を恐れ、これまで自分が拠り所にしてきたものにしがみついて目を固く閉じ、身を縮こませてただ震えることしかできない。それでは、私には到底届きませんね」
鳥居はそれに、何も言い返せない。彼の理性は、巴の言動をこちらを動揺させ心に隙を作るための詭弁だと叫んでいた。事実巴光太郎という男が他人の心をえぐることを極めて得意とする危険人物だという話は、糸巻からも何度か聞いている。
しかし頭ではわかっていても、その言葉には一抹の真実も含まれている……そう感じることこそが罠だとは百も承知だが、それでもその罠から彼の思考は逃れられない。自分のためだけにデュエルをする、そんなことは彼の人生において1度も考えたことすらなかった。彼のデュエルはまだ子役だった幼少のころから巴の指摘通り観客と共にあり、1人でも多くの人間を楽しませることこそがデュエルを行う一番の喜びでありモチベーションだった。そこに疑問の余地はなく、事実それでこれまではうまくやってきていたのだ。だからそれを欠点とする巴の言葉に、彼は言い返せるだけの根拠を持ってはいない。
「おっと、今はまだ私のターンでしたね。1度この辺にして、最後の処理に移りましょうか。カードを伏せてエンドフェイズ、シャドウ・ディストピアの最後の効果が強制的に発動。ターンプレイヤー、つまり私のフィールドにこのターンリリースされたモンスターの数に等しいシャドウトークンを特殊召喚します」
シャドウトークン 守1000
シャドウトークン 守1000
「『俺の……いえ、私の、ターン!』」
エンタメモードに入った際の、一人称の取り違え。こんなことは、この
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