ターン15 暗黒の百鬼夜行
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、非常口を知らせる緑の光。それが不意に点滅したかと思うと、すぐにぶっつりと消えた。2人のデュエルディスクの放つかすかな光に目を凝らせば、辛うじて見える闇の中には無数の影法師が揺らめいていた。悪鬼の顔をした闇そのものの切れ端による、天地四方の区別なく響く嘲笑とも怨嗟ともつかない声なき声が空間を埋め尽くす。
「『これは……』」
「いい声で鳴くでしょう?先のターンでは、なかなか明るい悪魔の演劇を見せていただきましたからね。私からもひとつ、そんなまがい物でない本物の闇黒をご覧に入れて差し上げましょう」
「『おや、これはこれは。つまり私の魔界劇団が、私のエンタメデュエルが、まがい物だとおっしゃいますか?』」
見え透いた挑発だ。そうは思いつつも、彼はその挑発にあえて乗った。きっかけは何であれ、このまま相手を黙らせていてはどんどんこのプレッシャーに委縮して相手のペースに乗せられてしまう。たとえそれがデッドボールであっても会話が繋がってさえいれば、まだそちらの方がマシだと踏んだのだ。
「ええ。裏デュエルコロシアムでの録画は見させていただきましたが、あなたのデュエルはどんな相手にも明るく、楽しく、いわば『魅せ』に特化している。世が世なら、人気の高いプロデュエリストにもなれた逸材でしょう。しかしそれは全て、そのデュエルを観ていただけるお客様の存在ありきの物でしかない。ひとつお聞きしますがあなた、自分のためにデュエルをしたことはございますか?」
「『自分のため、に?』」
「ええ。あなたのデュエルスタイルは要するに対戦相手を、そして観客を楽しませるものであって、あなた自身というものがどうにも薄く見受けられましたのでね。築き上げた全てをかなぐり捨てて、存分に浴びていた歓声が一転して罵声になったとしても、どうしてもただ勝利の二文字を手に入れたい……そんな思いをされたこと、きっとあありませんよね」
このまま何も答えなければ、ずるずるとテンポを掴まれる。頭ではわかっていても何も答えられずにいる鳥居に対しさらに畳みかけるように、巴の言葉が突き刺さる。
「だからあなたの覚悟はまがい物だと、そう言っているのですよ。私は昔も今も、自分のためにだけこのカードを振るいます。ですがそれは、1度は他人のために戦うプロデュエリストの世界に身を置いたうえで改めて選んだ結論。最初からエンタメなどという目の前に与えられた役柄に何も考えずしがみつき、自分の意思で戦う心構えを知ろうともしなかったあなたとは違うのですよ」
「『……そんなこと』」
「ない、そうおっしゃりたいのですか?では、その覚悟……いえ、あなたが覚悟だと思い込んでいるものがどこまで持つか見せていただきましょう。レッド・リゾネーターを召喚し、その召喚時効果により私は手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚で
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