ターン15 暗黒の百鬼夜行
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「『レディース・アーンド・ジェントルメーン……は、残念ながらこの場にはいらっしゃいませんが。ご安心くださいお客様、私の誇るエンタメデュエルは、いかなる場合においても決してその手を抜かないのが流儀。めくるめく夢の世界へと、明るく激しくご案内申し上げましょう!』」
暗い廊下に、明るい調子の声が響く。声の主は無論、鳥居浄瑠。いつもの調子で始まった彼の得意とするエンタメ節だが、見る者が見ればそこに含まれた微かな違和感にはすぐに気が付いただろう。そしてそれは、彼自身が心の奥底では誰よりもわかっていた。
いつもよりもほんのわずかに、ギアが高い。口上の修飾語はいつもよりわずかに多く、声の調子もやや上ずっている。それはすなわち、彼自身の感じている緊張の裏返しでもあった。かつての演劇デュエルによる場数、そしてまだ日が浅いとはいえデュエルポリスとして何度か経験してきた、プロ崩れのテロリストとの死闘。それらの積み重ねをもってしてなお、この目の前の男……巴光太郎というデュエリストの発するプレッシャーに、彼の体は敏感に反応しているのだ。
「……」
巴はただ何も言わず、薄く口の端を歪めて笑うのみ。ただそれだけで背筋の冷たくなるような感覚を覚えつつも、それを振り払うようなオーバーリアクションと共にいつもより声を張り上げる。
「『私がここで呼び出しますは、やはりすべての始まり……そう、ペンデュラム!ライトPゾーン、及びレフトPゾーン。フィールドを睥睨するこの両端に光のアークを掲げしは、そのどちらもが数字を操る凄腕のガンマン。スケール2、魔界劇団−ワイルド・ホープをダブルセッティング!』」
彼の左右に同時に立ち上る光の柱と、その内部に浮かぶ全く同じガンマンの姿。当然そこに映る光の数字は同じであり、このままではスケールは描かれない。
「『……で、す、が。ここにワイルド・ホープの特殊能力が加わればあら不思議。レフトPゾーンよりライトPゾーンへと空を切り裂き飛んでいく贈り物は、スケールを打ち抜く魔の弾丸。ワイルド・ホープのペンデュラム効果発動!反対側のスケールに魔界劇団がセッティングされているときに限り、このターンの魔界劇団以外の特殊召喚を制限する代わりに相手スケールを9へと上書きする、チェンジスケール・バレット!』」
宙に浮かんだままのワイルド・ホープが光の柱内部で銃を抜き、カーボーイハットの位置を左手でわずかに上にずらしながら右手で照準を合わせる。1瞬の静寂のちに目にも止まらぬ早業で放たれた弾丸は正確に反対側の光の数字ど真ん中を捉え、その衝撃で数字が2から9へと変化した。
魔界劇団−ワイルド・ホープ スケール2→9
「『これにて描かれしスケールは2と9、よって私はこのターン、レベル3から8までの魔界劇団を同時
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