第三十四話「決意」
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」
「前回は【プリンセス】の捕縛だったが我らに妨害され失敗。とは言えその時に彼の力を見ていたら?」
「…成程、それなら納得が行きます。精霊の力を使えるかもしれない。彼らが動くには十分な動機でしょう」
「それなら我らもうかうかしていられないな。至急帰還し老人方と会議だ」
「…なんだぁ?ようやく決めたのか?」
天宮市のとあるビルの一室。薄暗いその部屋では一人の男が客人を出迎えた。…とは言え男の態度は悪くソファにどっしりと座り足を組むと言う出迎えとは思えない態度であったが。
「…」
「ったく、兄ちゃんは今は留守にしてるぜ。何せブラジルまで態々大佐殿と一緒について行っちまったからな」
「…」
「あ?はいはいはい。分かってますよー。兄ちゃんの言う通り精霊を殺す力は手に入れられるぜ?折紙ちゃんよー」
男、ヤン・ヴァレンシュタインは客人である鳶一折紙にそう言った。折紙がここに来た理由はただ一つ。精霊を殺せる力を得るためだ。
ルークに誘われ内容を聞いた折紙は一度頭を冷やした状態で考えるために一月近くの時を用いた。その結果は今の状態が示している。
「生憎兄ちゃんが帰って来るのは九月になってからだ。兄ちゃんがいなきゃあれは出来ないからな。別に俺っちがやってもいいけど、失敗はしたくないだろ?」
「別にそう睨むこたぁねぇだろ。お前の意思が決定した以上兄ちゃんが帰ってき次第手術を行い、おめぇは力を得られる。それでいいだろ?」
「安心しろよ。例え俺たちが殺されたとしてもお前が願う限りいつでも遣いは来る。何一つ心配する事なんざねぇよ」
「分かったらいったん今日は帰れ。連絡はいつも通りに。その時は自らの価値観が一変するからな。楽しみにして置けよ」
ヤンはそう言うと折紙を扉に誘導する。折紙も特に抵抗する事なくそれを受け入れる。
精霊を殺せると言う期待と興奮を胸に抱きながら。
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