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レーヴァティン
第百二十一話 即位その十
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「よくな」
「始皇帝やらルイ十四世やらな」
「何かと建築するよな」
「最近やと北朝鮮とかな」
「あそこ金ないどころじゃないけれどな」
 それどころか慢性的かつ深刻な飢餓状態だ、こうした状況に陥ってもう三十年近くになるであろうか。
「色々建ててるな」
「今の技術と豊かさやと建築も何でもないけれどな」
「北朝鮮レベルだとともかくな」
「それでもや、昔はちゃうかってな」
「この浮島でもな」
「術はあってもや」
「下手に豪奢な宮殿とか何でも建築すると」
 どうなるか、それは久志にもよくわかっていた。
「あっという間にな」
「国が傾くわ」
「そうだよな」
「日本はそうした話少ないけれどな」
「そういえばそうだよな、権力者が建築に凝るとかな」
「太閤さん位やろ」
 豊臣秀吉だ、大坂城だけでなく聚楽第や伏見桃山城等とかく多くの建築を行わせてきた。特に有名なのは大坂城であるのは言うまでもない。
「それこそ」
「他の権力者は建築してもな」
「然程やない」
「藤原氏とか室町幕府もな」
「大したもんちゃう」
「江戸城もな」
「そや、何しろ建ててもな」
 そうしてもというのだ。
「台風や地震、火事に雷でや」
「すぐに壊れるからな」
「戦よりもな」
「災害の方が問題だからな」
「実際色々な建物が壊されてるわ」
 その台風や地震等でというのだ。
「それでや」
「日本では権力者は建築好きな人が少なかったんだな」
「それで自分もやな」
「その考えはないつもりだけれどな」
 それでもとだ、久志は美奈代に答えた。
「それでもな」
「建築にも興味ないか」
「これといってな、だからな」
「この護民官の宮殿でか」
「いいさ、ベルサイユ宮殿とかな」
 久志は例えとしてこの宮殿の名前を出した、言わずと知れた太陽王ルイ十四世が築かせた大宮殿である。
「サンスーシーもな」
「フリードリヒ大王のやな」
「そういうのはいいさ、それにな」
「それに?」
「皇居見てるとな」
 久志はここで自分達が起きた世界の話をした、日本の皇室の方々が住んでおられる場所はどうかというのだ。
「ああいうのこそな」
「ほんまの君主やっていうんやな」
「実際そうだろ」
「質素こそがかいな」
「実際始皇帝なんて建築ばかりしてな」
 万里の長城にはじまり自身の宮殿である阿房宮、墓である驪山陵とだ。実に色々な建築をさせてきた。
「民に負担かかってただろ」
「それ有名やな」
「まあそれ以前に秦って嫌われてたけれどな」
 史記を読むとかつて秦に征服された国々の民からの反発はかなりのものだった、もっとも司馬遷自身がどうも秦が嫌いだった様だが。
「そもそも」
「それで始皇帝死んでからな」
「すぐに叛乱が起こって滅んだな」

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