第百二十一話 即位その八
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「ローマを掌握しても」
「その時点でか」
「そう、本当にね」
「すぐに正体がばれてか」
「能力もないから」
有能な小悪党というものはまずいない、有能ならば悪党でも大悪党となるからだ。蟹は己の甲羅に合わせて穴を掘るということか。
「それはね」
「まさにか」
「そう、そうなって」
それでというのだ。
「ローマ市民に叛乱受けて」
「終わりか」
「殺されなくても追放ね」
「失脚だな」
「それでもう後はね」
「野垂れ死にだろうな」
「そうなるわよ、だからね」
それでとだ、留奈は久志に話した。
「小悪党はね」
「所詮か」
「大きなことは出来なくて」
「悪事もだよな」
「下衆なことしか出来なくて」
「自滅みたいになるんだな」
「そういうものよ、けれどあんたはね」
留奈はあらためて久志に話した。
「ずっとこの世界で一緒にいてわかったけれど」
「小悪党じゃないか」
「少なくともね、あの元総理みたいじゃないから」
つまり下衆な悪党ではないというのだ。
「器は大きい方ね、それで私利私欲よりもね」
「公を見てか」
「考えて動くから」
「モンスター退治にしてもか」
「そう、それが出たことだから」
それでというのだ。
「民も支持してね」
「皇帝になることをよしとしたんだな」
「そしてひいてはこの浮島を統一して」
「世界もか」
「救うって思ったのよ」
「そうか、だったらな」
それならとだ、久志は留奈の話を聞いてそのうえで言った。
「これからもな」
「頑張っていくわね」
「そうするな」
「それではです」
夕子は久志の誓いを聞いて笑顔で言ってきた。
「政もしましょう」
「それもだよな」
「はい、政もです」
それもというのだ。
「しなければならないので」
「そうだよな、じゃあな」
「今度は水運のことで」
こちらの政だというのだ。
「船の増築ですね」
「ああ、ナイル川で作られる麦や米をな」
何故船を増やす必要があるか、久志はすぐに察して述べた。
「半島とか他の地域に運ぶ為にだな」
「そうです、これまでも食糧事情は悪くなかったですが」
領地のというのだ。
「半島自体も豊かなので」
「それでもだよな」
「食べるのは人だけではありませんね」
「家畜もだからな」
「家畜用の飼料も作っています」
ナイル川流域ではというのだ。
「そして増産もです」
「出来るからな」
「あの川はまことに素晴らしい川で」
「この浮島最大の穀倉地帯だからな」
「そこで多くの飼料を作って」
「他の地域に船で運んでな」
「家畜達に食べさせて」
「家畜を増やしてな」
「そして身体も大きくしましょう」
「その為にも船もだな」
「多く用しなければなりません」
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