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黄金の羊
第五章

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 彼等の末っ子であり家を継いでいるムンケ=バートルを紹介した。そしてこの若いコボルトとだった。
 ナツァグドルジは話した。
「そういう理由で」
「ああ、政府としてですね」
「管理したいとのことで」
 それでと言うのだった、そしてナツァグドルジは多くの金銀や宝石を若者に出してそうしてあらためて言った。
「是非。その分の代償も」
「それがですか」
「これで足りないのならまだ」
「それなら充分です、では」
「はい、羊をお渡しします」
 若者はナツァグドルジに答えた、こうして黄金の羊は無事に手に入った。だが狼と羊はここでこんなことを言った。
「ここからウランバートルまで二千キロですね」
「それ位です」
「では今からです」
「ウランバートルまで行きましょう」
「わかった、ほな行こうな」
 ナツァグドルジはここでも平気な顔だった、だが。
 黄と李は今度は二千キロと言われて心底うんざりした顔で言った。
「倍か」
「洒落にならんです」
「ほんまにな」
「何て言えばええんですか」
「行こか」
 これが二人へのナツァグドルジの返事だった。
「今から」
「それだけか」
「それで二千キロもですね」
「馬やとな」
 これに乗っていればというのだ。
「すぐやからな」
「それでか」
「今からですね」
「行こうな、流石に三千里はないわ」
 ざっと計算して一万二千キロである。
「そやから安心するんや」
「いや、二千キロやぞ」
「やっぱり相当な距離ですが」
「それもか」
「大丈夫ですか」
「何でもないわ、そやからな」
 今からというのだ。
「行こうな」
「はい、これからです」
「先に進んでいきましょう」
 狼と鹿も言ってだった、そのうえで。
 一行は今度は二千キロの旅路に入った、ナツァグドルジと二匹は平気で羊を連れて進んでそうしてだった。
 ウランバートルに戻ってから羊を役所に届けた、すると羊はウランバートルにある動物園で大事に保護され飼育されることになった。
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