第二章
[8]前話
「今日は寝るまでずっとここにいるから」
「お風呂は入るでしょ」
「それはね」
風呂は好きなので毎日入っている。
「そうするけれど」
「それでもなの」
「ご飯はここで食べるし」
季衣の家は冬は家族はこたつで食べている。
「だからね」
「もうずっとこたつの中にいるの」
「電気こたつだしいいじゃない」
こたつにかじりついた姿勢での言葉だった。
「そうでしょ」
「呆れたわ」
「そうなの」
「かなりね」
「公園なんて絶対に行かないから」
こう言って季衣はあくまでこたつから出ようとしなかった、みかんを食べた後は自分が言った通りにそこで予習復習をはじめたが急にだった。
季衣は困った顔になった、母は一緒にこたつにいてスマホでネットの情報や動画をチェックしていたがその娘を見て言った。
「行ってきたら?」
「寒いから」
季衣はその困った顔で言葉を返した。
「だから」
「けれど行かないと駄目でしょ」
「こたつ出たくないから」
予習をしつつ言うのだった、シャーペンは右手にあり教科書とノートが開かれている。
「絶対に」
「じゃあここでするの?」
「絶対にいや」
「こたつ出ても誰も場所取らないわよ」
季衣が今いる場所はというのだ、座布団がそこにある。
「だから行ってきなさい」
「寒いから」
「ここでする訳にいかないでしょ、早く行きなさい」
「籍誰も取らないわよね」
「今家にいるのあんたとお母さんだけでしょ」
父と高校卒業の後すぐに就職した姉は仕事に出ていていない。母は今日はパートが休みで家にいるのだ。
「じゃあね」
「行けばいいのね」
「早く行きなさい」
「それじゃあ」
ここで季衣は遂にこたつを出た、そうしてだった。
トイレに行った、だが戻ると開いたままのノートの上に家の飼い猫がいたのでどけた。そのことには困ったがまた勉強をはじめ電気こたつの温もりを感じつつみかんも食べた。ただし公園の方は見向きもしなかった。
寒いから嫌 完
2019・9・22
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