【その変わらなさ】
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なかったと思った。俺はある意味、あなたの死が怖かった。父が自ら死を選んでまで守った一族の仲間……あなたも確実にその一人だったから。父の死の意味を、俺は守りたかった。──ヒナタ様に、死なれるわけにはいかないと思っていた』
「でも……ネジ兄さんはあの時、ナルト君を守ったんでしょう。ナルト君を守ろうとした、私じゃなくて」
『ナルトを守ろうとしたあなたを守った、というほうがある意味正解だ。……あなたにとって俺は、あくまで自分ではなくナルトを守ったという認識のようだったが』
「だって、ネジ兄さんはナルト君の命はひとつじゃないって……自分の命も、そのひとつに入っていたって──」
『自分で選んだ死をもって仲間を守ったというなら、聞こえはいいのだろう。父と同じように死ねた事を、誇りに思うのならば……』
自らに言い聞かせるかのような従兄のその言葉の意味する所を、ヒナタは理解しきれていない自分にもどかしさを感じた。
「じゃあ、あの時……本当は私を、守ってくれたの、ネジ兄さんは。でも仲間なら……どうして、ネジ兄さんは最期に私の事を、様付けにしたの……? 大戦中は、仲間として闘って、宗家分家関係なく呼び捨てにしていたのに」
『あれはナルトに向けた言葉であって、ヒナタ様に直接呼び掛けたわけではないから……そうだな、最期に見栄を張ったようなものだったかもしれない』
「けど今この時だって私を様付けにしてる……。呪印だって、とっくに消えているのに」
『……あなたはあなたで、死んで間もなかった俺に助けを乞うていたじゃないか。ナルトを守ってくれ、と』
苦笑気味の従兄にヒナタは若干申し訳なさを覚えて俯いた。
「あれは……咄嗟にネジ兄さんしか、思い浮かばなかったから──」
『あなたは覚えていないかもしれないが、俺はかつてあなたに“人は決して変わる事は出来ない”と言った。だがあなたはナルトによって多少変わる事は出来たはずだ。俺もそうだった。……ただ、あなたはそれから平行線のままで、寧ろそこから変わる事はなかった。あなたのその変わらなさは……良くも悪くも、あなたでしかないんだろうと思う』
「ネジ、兄さん……私は──」
そこでその場の星空の空間が、一度ぐらりと揺らいだ。
「何が、起きたの……?」
『そろそろあなたの意識が戻る頃合いらしい。……娘のヒマワリを安心させてやってくれ、あなたに置いて行かれたショックはあれど、とても心配して必死で呼び掛けているから』
「うん……分かった。──ネジ兄さんは」
『俺は一緒に行ってやれないよ、判るだろう』
僅かに困ったような微笑を浮かべるネジ。
「また……こうして、逢えるのかな」
『どうだろうな、次に逢えるとし
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