暁 〜小説投稿サイト〜
『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
[2/3]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
のアンデッドや魔法生物にもダメージを与えることができる利点がある。
「ハッ!」
カートが魔力の刃を振るうと机の四隅が切断された。
「か、カート様、いったいなにを!?」
「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。分かち合えない力なんかに価値はない。おれはZクラスをそんなクラスにしたいんだ。だから序列なんて必要ない」
角を切り取られた机は円卓となっていた。これならば上座や下座などの序列はない。卓を囲む者すべてが対等である。
至弱より至強へと昇る、のちに円卓の生徒と呼ばれる彼らの新たな一歩、新たな歩みが今はじまったのだった。
『帝国の魔女』ミサ=キルシュバオムはその絶大な魔力を駆使して襲撃者たちを簡単に捕らえることができた。
魔法で金縛りの状態にした彼らを睥睨し、哄笑をあげる。
「ケヒャハハハハハ!」
プラチナブロンドのツインテールを振り乱し、狂ったように笑いこける。
ひとしきり笑い、それが治まると中空を見上げて詠うように言葉が紡がれた。
「……魔法は力なり。無粋で粗忽なおまえたち戦士の振るう武器のように無骨なものとは比べものにならないの。もっともっと繊細で強力なもの。破壊の中にも生み出されるものはあるし、創造の中にも失われるものがある。両者は表裏一体、光と影の関係の如し」
十代前半の姿をした少女の桜色の唇から、聞く者を陶酔させる蠱惑的なキャットボイスが流れる。
「破壊と創造、破壊と創造、破壊と創造――。さぁて、おまえたち無頼の輩を破壊して安らかな夜の時間を作り出すべきか、それとも平和を作り出し、おまえたちに訪れるであろう確実な死を生むべきか、どうしようかしらねぇ」
いずれにせよ殺す、そう言っているのだ。
「死ぬのはおまえだ、魔女よ。たとえここで我々を倒しても、次の刺客がおまえを襲う」
「あくまで歯向かうのね〜。よろしい、ならばひとつ望みのものを選ぶといいわ。……こんなふうな! 灼熱の炎の中で焼け死ぬのがいい? それとも、こんな! 電光に撃たれるのが好みかしら? それとも、こーんな! 風の刃で撫でられるのはどう? あるいは〜、こんな! 氷の嵐に見舞われるのはどう? もしくは……て、あらあら〜? もう答えられる者はいないようね」
死屍累々。魔女の周囲は火炎と電撃、風と氷の刃に蹂躙された人々のむくろが積み重なっていた。
「死体ってば風景の破壊者よね、せっかくの景観が台無し。――貪るものよ、暗き砂漠より、来たりて啖え」
ミサ=キルシュバオムの唱えた召喚呪文に応じて異界よりなにかが現れる。
人に似た四肢を持ってはいるが、前かがみになった姿勢や顔つきは犬めいており、肌は赤と緑を混ぜたような不気味な色をしている。手には鋭い鉤爪が生え
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ