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ソードアート・オンライン 幻想の果て
五話 その日の始まり
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まれた話が終わり水を向けられたトールはかしこまったようにしてミドウへ向き直った。

「金属製防具を八セット、レベル四十代ぐらいのプレイヤー用に造って頂きたいんです」

「へ?」「……」

その依頼にトール以外の三者が目を瞠る。僅かな沈黙の間を置いて、ミドウが口を開く。

「八セットともなればそのレベル帯とはいえ相当な価格になる。示しがつかんからな、いくらお前でもあまりまけてやることは出来んぞ」

「構いません、ですが金属は自前で調達してきたいと考えています、どれくらいの量が必要になるでしょうか?」

「ふむ、インゴットにして二ダース分はかかるだろうな。原料の金属鉱石から集めるならその三倍にはなる」

返答に淡々と頷きを返していくトール。金属製武具の製造に必須となるインゴットアイテムの入手方法はモンスタードロップやトレジャーボックスからの入手の他に、山岳地形ダンジョンなどに存在する鉱石オブジェクトから採取した金属鉱石を鍛冶屋NPCやプレイヤーに精製加工してもらいう方法がある。

鍛冶スキルを持つプレイヤーによる加工はNPCのそれよりも大分効率の良いものとなっているが、それにしても三十六という数字は採取するのに多大な根気が入用だ。更にオーダーにかかる代金は個人の負担としては並々ならない額のはずである。

「……支援してるプレイヤー達にか?」

「ああ、すごいやる気になってくれててな、有望そうなグループが二つあるんだ」

「で、パワーレベリングしたいわけか……大丈夫なのか?」

「やるのは初めてじゃない、それに狩りのセオリーはもう身についた人達だから大丈夫だよ」

トールが行っている低レベルプレイヤーの支援、この依頼はその一環として必要なものらしい。プレイヤーのレベルに対して安全に狩れるとは言いがたい高レベルのモンスターは狩ることさえ出来れば多大な経験値が得られる。高レベルのプレイヤーが付き添いモンスターの攻撃を受ける、逸らすなどして狩り続ければ適性圏の狩場よりも効率の良いレベル稼ぎ、いわゆるパワーレベリングと呼ばれる行為が可能になる。

そしてそういった場面に潜む危険が些細なミス、予期せぬモンスター湧出(ポップ)、ターゲットの跳ねなどによるHP全損、MMO的にいうなら事故死だ。なにせ相手は安全圏を逸脱した高位のモンスターである、当然攻撃力もプレイヤーの防御力不相応に高い連中ばかりだ。従来のMMOならば笑い話で済むそれもデスゲームであるSAOでは冗談にならない。少しでもその危険性を遠ざけようとトールは支援対象のプレイヤー達が装備し得る最高品質の防具を揃えようとしているのだろう。

「ーったく、お前は、お人よし過ぎるぜ」

「すまないな……でも、どうしても危険は避けたいんだ」

「しょうがねえな、
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