五話 その日の始まり
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たところに、アルバが身を乗り出して割り込んだ。
「よっす爺さん!前行った時から良い武器出来た?両手剣で俺のみたいなやつさ」
「あのタイプの武器はそう滅多に出ん」
「駄目か……、そろそろ武器もアップグレードしたいんだけどな」
肩を落としながらアルバは自分の背に掛けた、やや特殊な形状をした両手剣を見る。柄から切っ先にかけて徐々に幅を増す両刃の刀身、更に先端部分は鉤型に変形しており重心が大幅に先へ寄った形となっている。
「いっそインゴットに戻して素材にしたらどうだ、それだと似た型が出やすいらしいぞ。――気持ち程度にはな」
「ほとんどギャンブルだしよそれ、あんまり試したくないんだよなー」
シュウの提案に渋い顔をするアルバの悩みは剣士クラスの人間ならば誰もが重要視するであろう武器の問題だった。剣の名を冠するだけありこの世界における武器の種類は途方も無く多い。特に一定以上のランクのプレイヤーメイド品に至っては同じ名の武器が出ることすらほとんど無いのだ。
そんな中でアルバが武器を切り替えるのに二の足を踏んでいる理由が彼の両手剣が持つ特異性にあった。プレイヤーメイドの武器の中でも稀に彼の《ファルタートロイメン》のように両手剣の枠組みの中にあって特殊な形状で生成されるものがある。
先端に重心が寄った、いわゆるトップヘビー型の両手剣であるその剣には一撃の重さが増すことにより普遍的な形状の両手剣と比べ設定上の攻撃値のわりに有利なダメージ判定が得られるという特徴があった。同時にそれは取り回しの悪化、再攻撃までの時間延長というデメリットも生んでいたが身軽さを生かした一撃離脱型のダメージディーラーであるアルバにはこの上なく相性の良い武器となっていた。
シュウの突撃槍、シュルツェンリッターもまた武器カテゴリこそ違えど境遇を同じくするものだった。槍身、というより手を守る覆いの拳側に当たる部分がサーベルが持つような護拳をかたどっており武器防御判定が得られるようになっている。それを扱えるよう槍身は相応に短くなっており、重量の低下からアルバとは逆に一撃の威力を減じさせる仕様になってしまっていたが、それは取り回しと重心の安定、それによる攻撃精度の向上に繋がっていた。
それら風変わりな出来の品々は使い手を選ぶが、使いこなせば同グレードの武器を遥かに凌ぐ有用性を示すが、生成できることが稀ということだけあり、今のアルバのように使い手は武器の代替えに苦心することとなる。
「自分で金属なり採ってきて依頼することだな、こちらも仕事だ、両手剣ばかりを造っているわけにもいかん。それで、トールが何か言いかけていたな」
「はい、折り入ってお頼みしたいことが」
割り込
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