蒼紅:第十七話 天主
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そうすれば比較的苦しまないように息の根を止めてやろう。解放しなければ苦しみの末に息の根を止めてやるだけだがな」
銃を向けるソウに紫電は溜め息を吐く。
「結局渡したところで殺すんじゃないか」
「当然だ、貴様は俺の大事な物に手を出したからな。貴様を生かしておく道理はない」
「彼女がこの国の存続に必要だとしてもかい?」
「だから何だと言うんだ?俺達は世間的にテロリストだぞ?この国とは無関係の存在だ。この国がどうなろうと知ったことか。」
「やれやれ…兄弟揃って根っからの悪者だね…君はどうかな?お嬢さん?」
紫電の問いに対して、テーラの答えは既に決まっている。
「電子の謡精の力で全ての能力者を洗脳・統治すると言うおぞましい計画を許すわけにはいきません」
「ふう…やっぱり話は通じないか…僕としては平和的な解決がしたいんだけど」
「歌姫プロジェクトのどこが平和的だ。能力者の人権を完全に踏みにじっている時点で平和的じゃないだろう。」
チャージショットが紫電に向けて放たれるが、電子障壁によって阻まれ、電子の刃がソウに迫る。
「僕だってこれが理想的だとは思ってないさ。ガンヴォルトにも話したけど、この国には敵が多いのさ。時間もない現状では歌姫プロジェクトは出来る限りの最善・妥協策なんだ。このプロジェクトの完遂は能力者の未来を守ることにも繋がるんだよ?」
「人としての最低限の自由さえも奪われた状態で未来を守れるわけがないだろう。その結果、無能力者が図に乗り、更に能力者への差別が広がることは確実だ。」
ソウと紫電が互いに凄まじい攻防を繰り広げるが、モルフォの電子障壁によって護られている紫電にソウの攻撃は届かない。
「それを言われると痛いね…でもそれは仕方のないことだよ。アキュラ君が言っていたように僕達能力者は化け物。ソウ君、君が個人で紅き雷霆のような並みの軍事力を上回る力を持っているのは他者からすれば恐ろしいんだよ。」
「………俺達…人工能力者を勝手な理由で造り出し、勝手な理由で廃棄するような塵共が我が物顔でいる国など滅べばいい…!!」
ソウの脳裏を過ぎるのは研究施設での地獄のような日々。
あの時の怒りと憎しみは今でも忘れていない。
「…僕もかつては被献体で実験によって死にかけたこともある身だ。君の…いや、君達兄弟や研究の過程で潰された能力者達の境遇には同情はするし、理解もする。けど、今は個人的感情で動いている場合ではないんだ。人としての自由を一時的に失ってでもこのプロジェクトはこの国には必要なんだ。」
「ふざけるな…!!これ以上お前達、皇神の思い通りにさせるか!!」
雷撃鱗を展開して一気に距離を詰め、紫電に殴り掛かる。
「特攻かい?無駄だよ…」
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