第七話『炎の師弟スパーリング』
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って感じでケン師匠本人にも不明らしい。後、若返った事で得意技である〈昇龍拳〉が本気を出したらヤバい事になっているって話しだ。
俺達の周囲の景色が、何も無い空間から一隻のクルーザーが碇泊している日中の港へと様変わりした。
心象風景の具現化──ケン師匠が自身の記憶の中から印象深い景色の一つを思い描き、周囲をその景色へと塗り替えたのだ。このような現象を魔術師の間では〈固有結界〉と呼称するらしい。
因みにクルーザーには他の〈歴代赤龍帝〉が揃って乗って此方を観覧(モブキャラ化)しているのは御愛嬌(ケン師匠は歴代内部でも人気が高い)。
「──いつでもいいぜ! かかってきな!」
アイサツ抜きに、いきなり始まるケン師匠のインストラクション!
「ニンジャネタを引っ張りすぎだろ」
「自覚は、ある!」
言い終わる前に間合いを詰めて、右のジャブを三連続で繰り出す──上体を動かすだけで全て躱された。
俺は続けて左のローキックを繰り出した。
「よっ」
ケン師匠は俺の蹴り足に後ろ側から足を引っ掛けて掬いあげる(これが本当の『揚げ足を取る』というヤツだ)。
「シャオッ!」
俺は敢えて流れに逆らわず寧ろ加速しながら身を捻り、両手を地面に着けて逆立ちになってカポエイラ≠真似た蹴りを繰り出した。
「おっと!」
バックステップで躱された。
俺は残った勢いの処理にそのままブレイクダンスで数回転して腕の力だけで跳躍し、両足での着地と同時にバック転から高々と跳躍すると空中で体勢を整えながら〈神威の拳〉の呼吸法を行い 、〈龍気〉を練り上げる。
「──〈流星波動拳〉!」
俺は空中から地上のケン師匠に向けて、漫画『ドラグ・ソボール』と同雑誌に掲載の作品で美少女達が超常の技と星座を象った武具を身につけて闘う漫画の女主人公、星弓の必殺技〈シューティングスター・ショット〉(※この作品はフィクションです)から着想を得て独自に編み出した〈波動拳〉の派生技──小さく分裂させた〈波動拳〉を放った。
「──フンッ!」
ケン師匠はスコールの如く降り注ぐ小粒な気弾を、右足を前に出して腰を落とし、右腕一本──あらゆる攻撃を無効化する超高等防御術〈ブロッキング〉で全て弾き飛ばした。この防御術はシビアなタイミングで一撃一撃に個別に対応する必要があるのだが、流石だぜ。
──着地する俺。
「当たんねぇ技は無いのと一緒だぜ?」
「絶対に当ててやる!」
ケン師匠の挑発に激昂する俺。ほぼ毎度のやりとりである。
「ヒュウゥゥゥ──!」
俺は再び〈神威の拳〉の呼吸法を行い、両手を上に広げて全身に〈龍気〉を漲らせる。
「──レッツゴージャスティィィィン!」
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