第三十八話 黄金郷のヤアド
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空間が歪む奇妙な違和感の中、やがて地面に放り出された。
心地よい風と、鳥の声が聞こえ、目を開けると……、そこは、空と木々と、野原と、舗装されていない道と……その先に城下町がある城があった。
「ここは…、あれ? 幽霊さん、いない。」
ファリンがその光景にぼう然とし、ここへ案内してくれた幽霊を探したがいなかった。
「おおーい、危ないぞー。」
そこへ、馬の蹄が地面を歩く音が聞こえた。
見ると、そこには馬ではなく、ユニコーンがいた。
「ユニコーン!」
「んん? あんたら、まさか…外から来た人達?」
「えっと…、あの、私達は、迷宮から…。」
「こりゃ大変だ! これを身につけて! ついてきてくれ!」
そう言って、ぼろい外套と、麦わら帽を渡され、ファリン達は、ユニコーンの馬車を操る人についていった。
案内されたのは、城下町近くの農園のような場所だった。
そこには、普通の動物のように魔物達がおり、みな大人しく、そこにいる人々に寄り添っていたり世話をされていた。
「魔物が…あんなに大人しく…。」
「おら達を襲うなって命令されているからな。」
ユニコーンの馬車の操手がそう言った。
「でも、外から来たあんたらは別だ。だから、あんた達は村の物を肌身離さず身につけていてくれ。」
「分かったわ。」
「イヅツミの様子が変だぜ?」
「えっ?」
見ると、イヅツミが、猫のように大人しく、ふにゃ〜んとマルシルにもたれかかっていた。
「もしかして…、ここが黄金郷? じゃあ、あのお城が黄金城?」
しかし、どう見てもどこを見ても黄金の名とはほど遠い。
「ま、詳細は、これから会う人に聞いてくれ。なんで、あんた達が選ばれたのか。俺もよくは知らん。」
「選ばれた?」
「ほれ、ついた。ちょっと待ってろ。」
そう言って、ユニコーンの馬車の操手が農園のような村で一番大きな家に向かっていった。
しかし、どうやら問題の人物は留守にしていたらしい。
「悪いな。少し間が悪かった。ここの主人が戻ってくるまで、村の中でゆっくりしててくれ。」
「分かりました。でも…。」
ダリンが周りを見回すと、村の人々が好奇の目を向けて集まってきていた。
「みんな、あんたらに構いたくてたまらないようだし。」
「そうなんですか? じゃあ、お言葉に甘えます。」
「わしは、先ほど見えた畑を見たいぞ。」
「じゃあ、ご案内しますね!」
ファリンとセンシが、喜々として村人についていった。
「はあ…、私はここにいるわ。イヅツミが心配だし。」
「それでは、中でお待ちください。」
残されたマルシル、チルチャック、そしてイヅツミが家の中に案内された。
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