蒼紅:第十二話 憎悪
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鎖された後はお兄様や孤児仲間と身を寄せ合いながら生きていましたが…私のいた故郷では能力者は迫害の対象であり、謂れのない暴行を受け、そして碌に食べることも出来ず、私の孤児仲間達は1人、また1人と…死んでいきました…残ったのは私とお兄様だけになり、そのお兄様も飢えで倒れ、そして無能力者がそんなお兄様に果物を与えたのです…毒入りの物を…」
「そんな…」
「お兄様は何とかそれを吐き出したことで九死に一生を得ました。この時に今より幼かった私でも悟れました。無能力者と能力者は分かり合えないのだと…」
絶句するシアンに語り続けるテーラの表情は冷たい物になっていく。
「でも…全ての無能力者の人がそうじゃないでしょ?モニカさんみたいに」
「そうですね、彼女の人柄は私も好ましいと思います。無能力者なのが惜しいくらいに…ですが、シアン…モニカさんみたいな人がどれだけいると言うのですか?私は…もう無能力者を信じることは出来ません…人は自分とは違う存在を受け入れることは出来ないということは皇神で利用されていたあなたも分かっているのではありませんか?」
「でも…皇神にも…親切にしてくれた人が…」
「あなたはごく一部の無能力者のために今、この瞬間にも心ない無能力者に迫害され、食べる物も眠る場所もなく苦しんでいる同胞に迫害を受け入れろと言いたいのですか?」
「…!」
冷たい表情でシアンを見つめるテーラにシアンの表情が強張る。
少しして、テーラは首を横に振ると細工を再開した。
「…すみません、シアン。細工を続けましょうか……」
「う、うん…」
しばらく2人の間に会話はなく、黙々と作業を続ける。
「…出来た……」
「私も出来ました。」
シアンはGVから渡された4個の宝石、テーラはソウから渡された3個の宝石を使ったペンダントを手に取って出来映えを見た。
「あの…テーラちゃん…」
「怖がらせてすみませんでしたシアン…さっきのことは…忘れて下さい…」
申し訳なさそうに謝罪した後にテーラは部屋を後にした。
「………(皇神にいた頃は自由が無くて無理やり歌わされるのが嫌だったけど、私は食べる物も寝る所にも困ったことは無かった…私…本当に何も知らないんだ…この世界のこと…GV達のこと…)」
GVもソウもあまり良い境遇ではなかったことは教えて貰ったが、ストリートチルドレン前は何をして、何をされていたのかは知らない。
せめて、今の家族のことは知りたいと願うシアンであった。
そして、シアンとテーラはそれぞれの相手に手作りのペンダントを渡した。
「これは…」
「俺達が渡した宝石か?」
自分達がミッションの最中に見つけた宝石が使われているペンダントを見つめるソウと
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