第百三十三話 亡命者達への余波
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顔をして、リューネブルクの記事を見ていた。
隊長室から離れたレクレーションルームでは副連隊長シェーンコップ中佐以下のローゼンリッター連隊最強カルテット達が集まっていた。
「副連隊長、リューネブルク大佐の記事ですが、ほんとの所はどうなんですかね」
リンツ大尉の言葉に考え気味にシェーンコップが答える。
「判らんな、あのリューネブルクが暗殺者として、そう簡単に使われるたまか?」
「そりゃそうですね、元連隊長の性格じゃ余り似合わないかんじですもんね」
シェーンコップの答えにブルームハルト中尉が軽く受ける。
「しかし、リューネブルク大佐が亡命者を装った同盟のスパイだったと言う話は巷間に流れまくってますから」
そんな中、デア・デッケン中尉が落ち着いた口調で話す。
「亡命者連中は、その話で燻っている同盟に対する不満を再燃させそうな勢いだそうですからね」
「あの亡命が演技だとしたら、あの時からの我々の苦労は何だったんだと思いますよね。あれは並大抵な物ではかなったですから」
「連隊長が亡命すれば、残った隊員が汚名をそそぐために死にものぐるいになり戦果もあがる」
「それにしても、リューネブルクの事が宣伝通りだとしたら、自分達の存在を認めさせるために血を流し続けてきた、俺達も哀れな境遇だな」
「それにしてもリューネブルク大佐もそりゃ颯爽とした人でしたがね、いったい何が不満で帝国に逆亡命なんぞしたんでしょうね」
「さあな、ただ一つだけ言えることがある。俺だって同盟軍の現状にはうんざりしている」
「そりゃ俺だって、一度ならず頭に来たことはありますが、最近帝国や軍の現状が良くなっているらしいですから、余計に同盟の悪いところを感じるんでしょうかね」
「俺の爺様を嬲り殺した社会秩序維持局も今回の叛乱で完全廃止になったそうですからね」
「そうか、ブルームハルトの爺さんは彼奴等に殺されたんだったな」
「ええ、爺様が名誉ある共和主義者ならいいんでしょうが、実際は単なる不平屋だっただけですから。皇帝陛下の御聖断で連中の悪事が白日の下に晒されて、処罰された事で婆様が泣いて喜んでましたよ」
「結果的に見てリューネブルク大佐が、皇太子を殺害した事は事実な訳ですからね、同盟にして見れば英雄ですかね」
「まあ、リューネブルクは逃亡して指名手配中らしいが、どうなるかだな」
「此方に帰ってくれば、英雄でしょうな」
「図らずも、逆亡命者が英雄ですか、散々貶しておいて持ち上げるわけか」
「皇太子を殺害した事が武勲ですか」
「そんなところだな」
「いやな世の中ですね、暗殺犯で英雄なんて」
「違いない」
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